【3】
ゆるい自己紹介つづいてます。ファミレスではポテトを頼みがちになるのはなぜなんでしょう。
ピラフを口に運ぶとコーンスープをくるくる。一口飲むとエビフライに手を伸ばす。
「それで?」
「ん?」
パクっと二口でエビフライを食べた識き目に促される。
「あぁ。あと、見つかった子供たちは何も覚えていないって発表されているが…」
コーラを飲みながらジッとこちらを見る瞳の色はやっぱり変わっているな。ま、妖怪だって奴に隠したってしょうがないか。実はニュースなどで報道されていない事実があるのだ。
「…何にも覚えていないってわけじゃない。どこにいたかって聞かれて、子供たちは同じ場所だと思われる証言をしている。部屋には自分だけ。明るい部屋で温かくて居心地は良かった。近くに人の気配があったが音は聞こえなかった」
「当たり」
「当たりって発表もないのにどうやって知ったんだ?」
そう。発表もない警察の内部情報だ。俺には伝手っていうか、関係者が従兄弟でって……まぁ今はそんなのはどうでもいいか。こちらを見ている識き目の目がキュルっとした。
「たちばなけんじろうから連絡がきたのを聞いた」
「はぁ~。やっぱり妖怪かぁ」
「そう。妖怪の識き目」
自分を指差しながら食べながら器用にしゃべる目の前の人物。盗聴犯の疑いとかいろいろ鑑みてみたが、ほぼ妖怪で確定だな。
健次郎から連絡が来たのは確か2週間位前の深夜、家で寝ている時だった。遠慮知らずのあいつに叩き起こされたんで覚えている。捜査に加わる事になったと興奮気味に話してきたんだよなぁ。うっかり聞いてしまった内容だったけど我に返ったあいつにすぐ口止めされたんで俺からは誰にも話していない。今の今まで。
「けんじろうからの連絡聞いてて気づいたことがある」
「何だ?」
「私と似たような存在が関わってると思う。…デザート」
「おっけい。…で、どういうことだ」
パネルを操作して聞くと、さっきのノートの別のページを開き手のひらをかざしている。紙面に数秒、波紋の様な淡い光が広がった後、じわあっと識き目の顔写真やメモ欄の様なものがいくつか浮かび上がってきた。あぁ、これはあれだな。プロフィール帳だ。好きな事や嫌いな事、得意な事など以外と詳細に書かれている。
「自己紹介」
「おぉ、くわしく、ありがとな」
到着したデザートに取りかかりたくて、説明を丸投げのような気がするがまぁいい。
自己紹介によると、いつから生きているか本人?不明、年齢不詳か…。性別欄がない?どっちでもないか、どっちでもあるかって感じか。人間の生活を観察したり、話を聞いたりするのが好き。あまりに騒々しい場所は少し苦手。存在に気付かれると面倒くさいので気付かれない様にしているが気付かれた場合は記憶を操作する場合もある。
「最後ちょっとこわいな…」
「橘くんの記憶は触ってないよ。…あ、さっき猫耳にした時に認識ちょっと触ったけど解除してるからだいじょぶ」
「そうか」
おぉうっかり改変されていたか、ま、体調は…大丈夫そうなので、よし。
「戻ってきた子供の記憶がないって状態が気になる。全部忘れてるんじゃなくて、薄められてるって感じがする」
俺のポテトもちゃっかり食べているがまぁいい。
「確かに君の得意な事が使われている感じだな」
「そう」
識き目の得意な事の項目に認識改変とある。さっき体験したから少し複雑だ。
「私と同じような存在が関わっていると思う。調べたいなと思って図書室にいたら橘くんを見つけた。何かぴったりだと思ったから声かけた」
いつの間にかデザートは食べ終わっていた。
「協力してほしい」
断られると思っていない雰囲気だ。ま、別にいいけどな。
「おっけい。健次郎からうっかり聞いてちょっと気になっていたし。情報は多い方が整理しやすいか」
急いで残っている分を食べる。
「続きはうちでいいか?」
「うん」
会計を済ませて帰り道へ。
「改めてというか必要ないかもしれないが、俺は橘智。よろしく。智でいいよ」
「よろしく。識き目でいい」
……妖怪と人間の自己紹介は無事に終わった。と、思う。
週末にむけて何本か書ける目途がつきそうです。ここまでご覧頂きありがとう御座います。




