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識き目  作者: 篁美都貴
2/2

【2】

親交を深めるにはまず食事から…なのか?ゆるい自己紹介はじまります。

舞台はファミレス。金曜の21時前。程々の賑わい。

何となく周りに人がいないテーブル席を選んでしまった。

「何頼む?」

「お金は持ってない」

「奢るよ。何食べる?てか…食べれる?」

「何がある?」

メニューを開きながらお互い当たりを付ける。

「俺はさっき食べたから……ポテトフライとミニサンド、あとドリンクバーでいいかな。そっちはどうする?」

「大人様ランチとドリンクバー、あと、これも食べたい」

ミニパフェを指差して向かいから見上げてくる。

「…パフェは食後でいいよな?」

「いい」

よく食べる奴のようだな。注文が済んだのでそれぞれ飲物を入れて戻ってくる。

俺はアイスコーヒーで向こうはコーラだ。

「……で、しきめっていうんだよな?」

「そう。しきめ、よろしく」

「…おう。よろしく。で、しきめって名前?しきめって呼んでいいのか?」

「書くものある?」

カバンにあったノートとボールペンを渡すと、適当なページにでかでかと『識き目』と書いた。

「こう書く。日本では妖怪に分類されると思う。他の国ではフェアリーとか。名前がない場合が多い」

「ふーん。妖怪か…。」

冗談じゃなさそうなんだよな。雰囲気が違和感あるんだよなぁ、なんか。気にした風でもないのでじっと見てみる。

どこにでもいそうな感じの見た目。表情はあまり豊かって感じじゃない。ただ瞳だ。瞳が変わっている。いやに澄んでいるっていうか不思議な色だ。青っぽいっていうか紺色?

「冗談じゃない、ほんと。あれ見て…」

「…?」

コーラの陰から指差す方を見ると4名のサラリーマンっぽい男性客の席だった。ちょうど店員がハンバーグプレートを運んできている。

「彼女の頭見て」

「…へ?え?猫耳か、あれ」

「あと、しっぽね」

ほんとだ。料理を並べる彼女の頭にはふわふわの茶色の猫耳、お尻には動きに合わせてゆらゆらと揺れるしっぽがあった。でも、男性客達は特に気にした様子はない。まるで見えていないみたいだ。

「橘くんにだけ見えてるよ。……はい、もう1回見て」

「…!」

猫耳もしっぽもあっという間になくなった。すっかり普通の店員だ。驚いていると頼んでいた料理が運ばれてきた。

「いただきます」

大人様ランチのピラフの旗に取り掛かった識き目が食べないの?とこちらを見てくるのでとりあえずポテトを摘まんだ。何か、ちょっと頭痛くなってきたな…。

「聞きたいこと聞いて良いよ?」

もぐもぐ食べながらはっきりと聞き取れる器用さで話しかけて来る。

「…何で俺の名前、いや、俺の事知ってるんだ?」

「たまたま。図書室で見かけた。近くで観察してたら波長が面白かったから」

「…そっか」

分かるような、いや、わからんな。

「頭痛いでしょ?」

「あぁ。突然の事で驚いているしな、ちょっと痛いが…」

「私のせい。認識改変の影響。普通の人間は全然気付かない。橘くんで3人目、50年ぶり。珍しい」

「おぉ。何かすごい事なのか?」

「すごい。今までの2人もすごい堅物で偏屈な奴だった。橘くんにも似たような雰囲気がある」

…何か微妙だ。褒められていないよな。

「橘くんなら興味持つだろうし、一緒に調べるならびったりだと思って。この事件」

先程のノートの空きページをとんとんと識き目が叩くと、最近モニターなどに表示されていた様に日付がさぁっと浮き出てきた。

「昨日10人目の被害者が出た連続失踪事件だけど、共通点は知ってる?」

「被害者の自宅前に折り鶴が置かれている。失踪して8日から12日ぐらいで人気のある場所で見つかる。あと、見つかった時も折り鶴を持っている」

「そう、当たり」


近々続きを上げたいと思います。ご覧頂きありがとう御座います。

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