表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/17

10食べてない

*未成年の喫煙描写がありますが、この作品はフィクションです。現実とは関係ありません。

喫煙と飲酒は20歳になってから。

「最近食べてないよねー」

「ん?」

 ふと、横合いから声をかけられ、ブラックライズは視線を向ける。そこではスリーナイトが、自分の腕を枕にして、ブラックライズを見上げている。

 口と隣接している腕には涎の痕。拭う事無く寝起き一番に、思いついたことを言ったらしい。とりあえず目に留まったので、傍らに置かれたティッシュの箱から数枚取り出して、スリーナイトの口元を拭う。

 されるがまま、暫く拭かれてから、それで、とスリーナイトは再び口を開いた。

「ブラックライズ、最近食べてないよね」

「は?」

 不意打ちだった為、若干聞き逃し気味だった最初の言葉と同じ事を言われ、ブラックライズは首を傾げる。重要な主語が欠落していることしか分からない。

 だが、分かった者がいた。プロフェッサーである。

「そういえばそうだね。最近ブラックライズが食べてるところ、見てないや」

「だから、何の話だって」

 自分は察しが悪い方ではないと自負するブラックライズであるが、やはりさっぱり分からない。

 こんな時、助け船を出してくれるガーネットとドン・ルークは生憎と不在で、仕方がないと呟いたブラックライズは、彼女たちは何を言いたいのかを、本腰を入れて考えてみることにした。

 食べる食べないと言うのだから、恐らく飲食物関係の話だと言うことは容易に想像できる。なら、以前自分が食べていたが、今は食べていない物を考えればいいのかもしれないが、残念なことにそんな品には心当たりがない。一応飲み物についても考えてみるが、やはり心当たりはなかった。

「分からん。さっぱり分からん」

「ん?何が?」

「おまえが言い出した言葉の意味」

「えー。ブラックライズが最近食べてないなって思っただけだよ」

「何を?」

「飴。前はしょっちゅう食べてたじゃん。球体の飴に棒がついた奴」

「飴……ああ、そう言えば食べてたな」

 6年程前から3年間。そう言えば毎日、1日に最低10本くらい食べていた気がする。コンビニで1本42円(税込)の輸入販売されてる奴である。徐々に本数が減っていたとは言え、中々馬鹿にならない出費であった。

「でも何で今更思い出したんだ、そんな事?」

「夢で見たの。初めて会ったときも食べてたし。それ以降も、食べていない方が珍しいくらいだったのに」

「私が初めて会ったときも食べてたよね。敵の基地への潜入工作中だったはずなのに……」

「そもそも疑われないか、姿を見られないのどっちかが潜入の前提条件だろ?完璧だったじゃないか」

「それはそうかもしれないけど……」

 超目立ってた。目立ちすぎて、誰もが疑わしいと思っても近づきたくないと思わせるくらいに。自分を勧誘にきた別の組織の人間だと聞いたときは、プロフェッサーも耳を疑った。幾ら何でも、マイペース過ぎるだろうと。

「それで?前はあんなに食べてたのに、どうして最近食べてないの?」

「何でって言われてもな。必要なくなったからとしか言いようがないな」

「もともとこれをやめるのに食べてたんだよ」

 そう言うブラックライズが右手をピースサインのように2本たて、口の前に持ってきて軽く動かす。

 きょとんとした様子のスリーナイトに対して、その動作の意味を察したプロフェッサーが、僅かに渋い顔をした。

「ブラックライズ、タバコ吸ってたの。体に悪いよ」

「もう吸ってないって。やめたんだ。吸ってるとこ、見たこと無いだろ?」

「まあ、止めたなら良いけどさ」

 どこか釈然としない様子のプロフェッサーは、ブラックライズの言った言葉を反芻し、ふと引っかかる言葉を見つけた。

「ねえ、ブラックライズ。少なく見積もっても、私とスリーナイトに会った頃に禁煙してたって事だよね?」

「まあ、そうだな」

「それって、今から5年前位だから、その頃ってブラックライズは20歳かそこらだよね?」

「そうだけど、それがどうし--「じゃあ、何歳から吸ってたの?」」

「え?あー……」

 言葉を濁しながらブラックライズがプロフェッサーを見ると、まっすぐ向けられたジト目と目があった。

 逃げられない。そう察したブラックライズが観念して口を開いた。

「10歳です」

「Sit properly.(正座しろ)」


 数時間後。

 漸く帰ってきたドン・ルークとガーネットが指令室に入ってきた。

 そこで行われていたのは、プロフェッサーの説教であった。

 怒られているのはブラックライズ。内容から喫煙に関してのことだと悟ったガーネットが、今更蒸し返すことでもないからと、プロフェッサーを止めようとして、足を止めた。

 正座をさせられブラックライズの顔。下に向けられたその顔が、どこか嬉しそうだったから。

 大人しく怒られろと、そう思って、ガーネットは普段の自分の席へと歩み出した。

EF幹部に聞きました

Q.好きな飴の味は?

A.ブラックライズ「サイダー。因みに今でも時々食べてる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ