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転生悪役令嬢はヒロインの影になりたい  作者: 大蛇山たんと


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最初の異変

今回の任務のルートは大きく分けて、街道沿い平原部分、山間部、海付近、そしてまた少し山間部に入って街道沿いの平原部分に戻って帰ってくるのを数日に掛けて巡っていくというルートだ。

もちろん本格的な山登りをするわけではなく、あくまでも馬車で行ける範囲のルートを行くので深い山に入るわけではない。

もちろん、多少歩きはするが、それでも深い所までは行かないであろう。

となると、警戒すべきは基本的にはその歩く部分……つまり、多少街道を離れた位置や山間部であろう。

特に魔物の襲撃などを視界や足場の悪い所ではされやすいだろうと思うので、そこを気をつける必要があるだろう。

つまりはまあ、まだコミエフィンから出たばかりの今は気を緩める……というわけではないが、どちらかというと余裕はある筈だ。

今のうちに聞きたいこととかは聞いておいた方がいいだろう。

幸い、私と同じ防衛ラインにはカサドール騎士団長も配置されている。

今回の任務についてもだし、今後騎士としての活動という意味でも後学の為に聞いておいた方が良いであろう。


「カサドール騎士団長さん、お話してもいいですか?」

「ん?ええ、まあ、もちろん周囲を警戒しながら、ほどほどに、なら良いですが。」

「ありがとうございます。なら、そうですね……今回の任務、警戒すべき魔物とかはいますか?それこそ、何か特殊な魔物の発見報告とか。」

「今のところそういう報告は無いですね。そういう報告があれば情報共有をしたり、ルートを変更したりするので、そちらの耳にも入るかと。」

「なるほど……それは確かにそうですね。」

「ただ……これは……。」

「……?どうかしましたか?」

「いえ……少々気になる情報が入っては来ているのですが、これはあまり言わない方が良いかもしれない情報なので……今は、胸の内に留めさせておきます。」

「……?わかりました……。」


どういうことだろう?

安全を第一に考えるべき護衛任務において、安全の考慮をしたうえで気になる点があるのに、それを情報共有しない方がいいかもしれない情報……?

一体何があるのだろうか、私には全く見当もつかなかった。


だが、その疑問はこの少し後に更なる疑問となる。


最初の花見スポット……桜日から送られた様々な桜が咲き乱れる、「サクラ街道」。

桜日は特に交流のある国なため、よく桜の苗が友好の印として送られてきたらしい。

この街道はコミエフィンにも近いので、春になるとお祭りのように人がごった返す。

今は秋なので寂しく感じる時期……と思うが、実は秋に咲くサクラもあるので、今の時期でも流石に花見シーズンとまでは言わなくともサクラを見ながら街道を通る、という人も居るくらいだ。

それにどうやらウルティハとエスセナには何か考えがあるらしい。

だから、そこを通る……という事になったのだが……。


「団長に伝令!なにやら街道に怪しげな一団を発見とのこと!」

「怪しげな……?魔物の集団ではないんだな!?」

「はいっ、人間です!」

「ふむ……分かった、警戒しつつ、いざという時は退避、防衛出来るように準備をしろ!」

「はいっ!」

「ふむ……。」


先頭を行っていた部隊からの伝令にカサドール騎士団長は指示を飛ばし、その後考え込む。

もしかしたら、その不安になる情報、とやらが的中しているのであろうか?

それを聞いてみたい……が、他の騎士にも知らせていないとなると、私が聞ける事ではないのであろう。

となると、私がやるべきことは一つだ。

戦闘準備をしながら、この後をシミュレーションする。

学園への依頼で、山賊などの捕縛はやったことはあるが、それでもこういう任務による実戦は初めてだ。

相手を傷つける事も考えて、やらなければならない。

そうやって、槍……今回は数日に渡る任務なため、現出で使う魔力を抑える為に触媒として鉄の槍を持って体勢を構える。

すると、カサドール騎士団長が話しかけてきた。


「本来ならば、我々としての最善の目標はマルニーニャ嬢達が戦闘に参加せずに今回の遊覧を済ませる事です。ですが、それでも任務を受けたのなら同じく、見習いとして素人扱いはせず、いざというときは武器を取っていただきます。よろしいですね?」

「もちろんです、私だって騎士を目指している身、ここで尻込みなんてしません。実戦経験、積ませていただきます!」

「その返事、よろしい!」


ちらり、と三人の方を見る。

三人の方にも伝令が届いたらしく、戦闘体勢に移っている。

馬車の方を見ると、恐らくベルナの杖であろう宝石の輝きが見えた。

ベルナとリジャール王子も恐らくいざという時の準備をしているのだろう。

なら、心配は不要だ。

私達は警戒態勢のまま歩みを進めた。


「コミエフィン騎士団の鎧に豪華な馬車……お前たちが王族達か!」

「その口ぶり、まるでこの遊覧を知っていたような言い草だな!お前たちは何者だ!?」

「なあに、ちょいと噂を聞いていただけさ……金になる噂をなあ!」


怪しげな一団。

それはどうやら盗賊の一団であるようだった。

ナイフや槌などを構え、既に話しながら現出をしている辺り、戦闘は避けられない……というか、逃がす気は毛頭ない、といった所であろう。

いやらしくニヤニヤと笑う者、逆に殺意を視線にギラギラと乗せてくる者、今すぐにでも攻撃してきそうな威嚇をする者。

様々な者達が、騎士団とピリピリと見えない火花を散らす。


「とりあえず……俺達の金の為に死ねやぁ!!」

「その噂の根源、すぐにでも口から吐かせてやる!行くぞ!」


「「おおーっ!!」」


お互いの集団が声を上げてぶつかり合う。

戦いの始まりだ。

明らかに命を狙ってくる盗賊たちに対して、こちらは捕縛が目的だ。

手加減をしなければならないため、全力とはいかないだろう。

それでも、やはり練度の差というか実力の差は如実に現れる。

それほど時間も掛からず、戦闘は騎士団優勢で進んでいく。

当然だ。

余程腕が立つ者でも居ない限り、正面から騎士と戦うというものは盗賊というあくまでも普通の賊からすれば装備も経験も違う。

先程カサドール騎士団長が話していたとおり、私達が戦闘に参加する必要も無く、この戦いは終わるであろう。


そう、思っていた。


いよいよ次回で番外編含めて100話目です。ここまで長かった……読者の皆様と支えてくれる周りの人たちのおかげです、本当にありがとうございます。

次回は普通に本編を連載するか、100話記念として現在までの設定のまとめ兼解説をするかを考えています。

もし解説になる場合は、改めて今までのお話を見直して設定メモを作っての執筆になると思うので時間がかかりますが、その場合hあしばらくお待ちください。

連載初期のつたない文章を自分で見返すのは勇気が要りますが……これも読者の皆様の為になると思って頑張ります。

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