5話目【END】
「本当に二人を置いて帰るんですか?」
『HEARTS』の三人へ挨拶と先に抜けたことに対しての謝罪をした後、自分の控室から荷物を運び出した。それから心配そうな声音で話すソラの言葉に小さく笑みが零れた。
「二人とも大人だし、何とかやるだろう?
・・・それに兄さんにはちょっとしたアドバイスしてあげたしなァ。」
俺からのアドバイスを聞いて実行している兄を想像しては思わず、ニヤニヤとした笑みが零れてしまう。
「・・・変なアドバイスしたんじゃないでしょうね?」
俺の様子に少し呆れた視線と言葉を返したソラの後ろに、噂をしていた二人を見つけた。・・・つまんねェな、と先ほど想像していたものとは違う二人の様子に内心呟く。
それは表情に出ていたらしく、ソラが不思議そうにこちらを見つめた。俺の視線を辿り、二人の方を向いた。
「・・・良かった。大丈夫みたいですね、兄さん。」
ソラはリュシ兄さんをおんぶするテンへそう声を掛けると、「でも、まだ辛そうですね。」とリュシ兄さんへと声を掛けると、兄さんは「嗚呼、・・・ごめんな。」と細い声音で返した。
「あ、ソラ。悪いが、車回してもらってもいいか?」
「はい、ここにまわしてきますね。」
二人はそう会話をしながら、ソラはテンの持っていた荷物も受け取ると、ニコリと笑みを零して自分の車へと向かう。その姿を見ながら、リュシ兄さんへ歩み寄る。
「リュシ兄さん、・・・言わなかったんだ?」
せっかくアドバイスしたのに、とは言わずとも、残念そうに目線を下げて話す俺に兄さんは気づいているらしかった。それから、少しあたふたした様子で「いや、その・・・これが精一杯、です。」と真っ赤になる兄さんを見て、まぁ、一歩前進かなァ、と小さく口元を緩めた。
「おい、リュリュ。あんまり、リュシアンにいらねェこと吹き込むなよ。」
テンは何言いやがった、と目で訴えるように睨み付けてきた。
・・・あーあ、怖い怖い、とソラの方に逃げながら、「はいはい。」と適当に返事をしておく。
車を取りに行くソラの後を追い、ソラの持つ荷物を少し取り、車へ運ぶ。
少し振り返り、二人の様子を見た。兄さんは少し満足気に、そして、幸せそうに笑みを浮かべていたので良しとしようと、車に乗り込んだ。
こちらまで幸せを感じさせる二人を見つめながら、思い浮かんだ詞を帰ってから書こう、と口元を緩め、車のシートに身体を埋めた。
<END>




