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アムステルダム夢記  作者: tag-tje
3/12

idol xx1年11月6日

彼女の名は、まゆまゆ。


大人数で生き残りをかけるアイドルグループの一員だ。




子どものころから舞台に立ち続けてきた。


学芸会、発表会、そしてアイドルになってからのステージや番組出演。


その膨大な記録を、彼女はすべて残している。


動画、音声、写真。


そして、言葉をほとんど綴らない絵日記。


その時々の役柄や衣装を身にまとった自分をイメージし、ゆるキャラのように抽象化された漫画タッチで描いている。


夢や希望へ向かって伸びる、明るく前向きな線。


ひとつの公演が終わるまで、毎日毎日ページは増え続ける。


同じキャラクターを何枚も描き重ねるうちに、最後の一枚がふいに完成する。


初めはゆるキャラだった自分の投影が、終わりには写実的なデッサンへと変わり、ひとつの作品として完成している。


そこには寂しさや悲しさ、孤独が滲み、希望の裏側に沈殿していた悲観が静かに姿を現す。




まゆまゆは天然系で、少し抜けている。


一生懸命なのに、周りからはからかわれ、いじめられ、嫉妬や悪意による傷が、絵日記のキャラクターを少しずつ変えていく。


それでも、内に秘めた思いは前を向いている。


折れそうで折れない芯が、彼女の中には確かにある。




恋愛ご法度のアイドルが、アイドル生命をかけてでも俺と付き合っている。


手をつなぎ、名前で呼び合い、二人で歩く。


その瞬間だけは、世界は幸せで溢れている。


俺が守らなければならない。


彼女の本名は、篠原華水。


夢の中で、ようやくその名前を聞くことができた。




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