amsterdam xx1年11月1日
ここはオランダのアムステルダム。
いつもの場所だ。
コーヒーショップのオーナーと仲良くなり、プレゼントをもらった。
黒地に赤文字で、なにやら書かれている腕章だ。
ゴシック系の書体で、何と書いてあるのかは読めない。
けれど、それが特別なものだということだけは、すぐにわかった。
周りにいた皆が、一様に息をのんだからだ。
名誉の証なのだということが伝わってきた。
オーナーは腕章には触れず、今度は五種類の商品をカウンターに並べて説明を始めた。
どれも見たことのない形をしていて、よく熟していた。
俺はコッペパンのように大きな Kush を選んだ。
すると、それを興味深そうに覗き込む女の子が現れた。
店の従業員らしい。
彼女は片言の日本語を話した。
俺は日本語と英語を使い、ときどきオランダ語を教えてもらう。
日本語も英語もオランダ語も入り混じっていたのに、不思議なくらい会話は成立していた。
言葉よりも、その場の空気で話していた気がする。
彼女は今日でこのコーヒーショップを辞めるという。
そして今日、自分の美容院を開店する日だと言った。
慌ただしくて、特別な日だった。
二人で店を出る。
俺たち二人は、その美容院へ向かってアムステルダムの街を歩いた。
くだらない話をした。
真面目な話もした。
お互いの国のことを、飽きもせず聞き合った。
到着すると、美容院は思っていたよりずっと大きかった。
十数人のスタッフを紹介される。
店の一角には物販コーナーがあり、パロディーTシャツが四種類並んでいた。
お洒落な美容院というより、洒落たセレクトショップだった。
……カッコいい。
……欲しい。
大人買いで全部買おうと思って見ていたら、「ほら、行くよ」とでも言うように急かされ、その場を離れることになった。
……欲しかった。
……悔やまれる。
またコーヒーショップへ戻る。
なぜか皆に紹介された。
途中でオランダ語では何と言うのかを彼女に教えてもらいながら、強者たちが集まるパーティーで挨拶をした。
俺は冗談交じりに、見せてはいけない腕章を見せびらかして皆をからかった。
店の空気が一瞬で変わる。
彼女もオーナーも、目に見えて焦っていた。
店の隅では、何人かが顔を寄せ合い、小声で何かを話している。
その様子がおかしくて、俺はまた楽しんでいた。
そういえば。
ずっと隣にいてくれた彼女の名前を、まだ知らない。
「名前は?」
そう聞こうとした、その瞬間。
夢から醒めた。




