amsterdam xx0年7月13日
この店にはよく来る。
馴染みの店だ。
ここでは白い未亡人が1g8ユーロで買える。
いつものように5gを注文する。
店長の奥さんは、タッパーの中から小さな電子はかりの受け皿にちぎって載せ、5gになるよう調整する。
二人でデジタル画面に目が釘付けになる。
4.8……5.1……
二人の目が合う。
……5.3。
さっとビニールの小袋へ移す。
俺はカウンター越しに「Alsjeblieft」と言いながら、10ユーロ札を4枚渡す。
代わりに、俺の手の中へビニールの小袋が渡される。
奥さんは口の中でクリック音を鳴らし、ウインクしながら「Fijne dag」と言う。
いつもの挨拶だ。
「U ook! ありがとうっ」
と、日本語で返す。
「ペーパーとフィルターも持っていきな」
そう言って、新品を一冊ずつくれた。
やっとテーブル席の椅子に腰を下ろす。
2ユーロのレッドブルを頼む。
そこからは手巻きで細く、ほそぉ~く巻く。
それを、移民系の二世だろうか、若いが法律上は成人というガキたちが、じっと俺の巻き方を観察している。
お構いなしに、いつもの如く細く、ほそぉ~く巻く。
巻き終えると火を点ける。
そしてレッドブルを飲み始める。
奥さんはカウンター席に座り、売り物のジョイントを何本も手巻きしている。
俺も自分用を、ジョイントを咥えたまま巻きながら、そのスピードを競う。
すると奥さんは秘技を披露した。
片手だけでロングペーパーをクルリと巻き上げ、俺の顔を見ながらベロぉ~っと糊の部分を舐める。
あっという間に円すい状のジョイントが出来上がった。
お見事だ。
思わず拍手を送る。
一本吸い切れない。
ここへ来るまでに、すでに何本も吸っているからだ。
ローチにして、マルボロメンソールのボックスへしまう。
奥さんは、
「煙草はやめな」
と言ってくる。
「Ja……Doei」
俺は笑ってごまかし、店を出た。
さあ、一日の始まりだ。
今日はどこへ行こうか――。
そう思いながら店を出たところで、目が覚めてしまった。
悔しい。
残念で仕方のない朝だった。




