amsterdam xx7年6月24日
久しぶりのアムステルダム。
今日の夢は、珍しくはっきり覚えている。
普段は時間が経つにつれて忘れてしまうのに。
飛行機に乗り、オランダへ着いた。
俺と舞、それに弘太の三人でホテルへ向かう。
ようやくたどり着いたのは、初めて泊まるホテルだった。
歴史を感じさせる古い建物だったが、どこか小汚い雰囲気が漂っている。
舞と弘太は部屋に飾られていた小物をあれこれ触り始め、テーブルに置いてあったピクルスを勝手に食べ始めた。
「うまい、うまい」
と言いながら夢中で食べている。
俺は、何となく怖くて口をつける気になれなかった。
「じゃあ、遊びに行こう」
三人で遊覧船に乗る。
すると弘太が、手すりの外側へ立った。
舞まで真似をする。
「危ないからやめろ!」
そう叫んだ矢先、橋の下をくぐる瞬間、弘太が足を滑らせた。
腕を岸壁のコンクリートに擦り、船に挟まれそうになりながら川へ落ちかける。
助けようと駆け寄る間もなく、弘太は船の最後尾まで流され、そのまま橋の隙間へ身を投げ出した。
奇跡的に助かった。
ところが今度は、離れていく船へ飛び移ろうとした。
もう間に合わないと思った瞬間、弘太は船へ飛び乗った。
「こいつ、本当にアホだ」
俺はそう思い、少し嫌いになった。
その後は街を歩きながら買い物をした。
だが俺の頭の中にあったのは、それだけではなかった。
どうすれば二人に気付かれず、コーヒーショップへ行けるか。
そればかり考えていた。
一人で抜け出す方法を、ずっと探していた。
ひとまずホテルへ戻り、一番近くにあるコーヒーショップを探す。
すると窓の外、すぐ近くに一軒見つけた。
名前は思い出せない。
聞いたこともないコーヒーショップだった。
土産用のバッグを肩に掛け、その店へ向かう。
カウンターで注文しようとしたとき、何気なく肩に掛けた透明なビニールバックに目をやった。
土産が入っているはずのバッグの中には、なぜか大量のブルーベリーが詰まっていた。
何キロもある。
「……何だ、これ?」
「いつの間に買ったんだ?」
「ブルーベリー……か?」
「キロはマズいだろ!」
自分でも状況が理解できず、不思議な気持ちで袋を見つめているところで目が覚めた。
久しぶりに見た、アムステルダムの夢だった。
古びたホテル。
名前も知らないコーヒーショップ。
そして夢の中の俺は、最後まで「ひとまず一服」のことばかり考えていた。




