第3話 対角線上の人見知り
ーー「わかった1分だけね?」
「ああ...」
(どうすれば...!!未来と帰ってあの一人ぼっちの子の情報を得るか、それとも陽王に怒られるけど話すか!)
ーー「はい...1分たったけど」
「わかった...なら約束をしよう。」
ーー「どういうこと?」
「今日は...その、別の人と帰る。けどそのかわり、明日は灰羅川さんと帰る。これでいい?」
ーー「わかりました...いいですよ」
「よかったぁ...ありがと!」
1分後の末、俺は陽王を選んだ。
今日は陽王、けど明日は未来と帰ることであの1人ぼっちでオコオコの陽王の情報を聞き出す。
完璧な作戦だ。
未来は帰り、残る教室の人数は2人。
俺と陽王だ。
対角線上に、俺と陽王がいる。
(慎重にだ...威嚇しないようにそーっと....言うんだ)
「ひ...陽王...さん..」
ーー「.......来ないで」
「....よしわかった...それは約束する。」
ーー「...なにがしたいの」
「...この距離でいい。廊下側の一番最悪な一番前と、窓側の一番後ろっていうベストポジションでな...」
ーー「...話したくない」
(えぇ...!!もう何が正解なんだよ...!?)
「...話したくないか...。」
ーー「みんな...私をからかいにくる」
「...いじめってことか?」
ーー「あなたも同じ」
「いや...別にそんなことは」
ーー「話したくない」
(いや話進めたのそっちじゃん...!!女の子ってよくわからない...俺の知識不足とかか?)
「わかった...わかったよ。じゃあとりあえず、今日は顔合わせって感じで...いいですかね...?」
ーー「今日はってなに。明日は来ないで」
「その言葉。よく覚えとくけど?」
ーー「...話したくない」
「....はいはい...」
同じ言葉を繰り返す女の子だ。
数学の時も、「わからないからです」とか言ってたのを覚えている。
印象深さはあるんだけどな...。
いじめとかを受けてるなら、俺は見捨てたりしない
夜の、家までの帰り道で俺はそう思った。
「はぁ...なんかどっと疲れたーー...」
ーー「あら、どうしたの?」
「いや何もないよ...ただ疲れただけ」
ーー「ふーん...」
お母さんは俺のことを心配してくれた。
けど、さっきのことを話すわけにはいかない。
俺だけの秘密にしたかった。
そして、俺はベッドの上でスマホを眺める。
(ラインの通知99件!?みんな騒ぎすぎだろ...)
ポチッ
ーー「エアコンが、壊れた世界は、地獄です」
ーー「夏の夜、エアコンなしで、涼む俺」
ーー「夏の夜、涼男がいなくて、泣き喚く」
ーー「現代の、最後の希望、救世主」
(いや...こいつら何やってんの!?俳句!?全員暇すぎだろ!)
ーー「俳句もう作れねぇわー...」
ーー「もう50個以上は作ってるからねー」
(作りすぎだわ!ボケ)
ーー「で、ランキングどうする?」
ーー「涼男に決めてもらおー」
ーー「それありだ!」
(ナッシング!なしだわ!)
ーー「涼男ってグループラインあんまり見ないね」
ーー「確かに」
(すいません...バリバリ見てます!)
数時間後。
俳句のグループラインが終わり、俺は眠る。
ただ、寝る前にグループラインをもう一度開いた。
(陽王って...このグループいるのか?)
メンバーが見れる表のようなものを、俺は探る。
ストーカーではない。
ただ、いじめ等があるならば俺は助けたいだけだ。
(...あ、一応いるのか。よかったよかった)
名前を見つけた俺は、安心して眠りについた。
次の日の日中も、本や宿題などをして過ごした。
そして、学校の時間になる。
(...ちょっと遅く行くか)
ピンポーン!
(う、...嘘だろ...?やめてくれ...)
「は、はーい?」
ーー「あ、氷くんじゃーん!奇遇ー」
「いや奇遇じゃねぇし!!」
ーー「昨日と同じ時間くらいだよ?早く行くよ」
「クーラー係の出番ってことか..?」
ーー「そういうこと。」
「触れるなよ。俺に触れたら低音火傷するぜ?昨日も言ったけどさ」
ーー「わかってるってー!隣にいれれば涼しいし!」
「あーそうですかー」
ピンポンの音と共に俺の家に来たのは未来だった。
昨日みたいに、こいつと2人きりで教室にいたくないから遅く行こうと思ったのに!
そして、俺は2人で学校に向かった。
ーー「いやーありがとね!氷ーくん!めちゃくちゃ涼しく学校に来れたよ」
「学校ではそんなキャラじゃないのにな」
ーー「人は裏表あるからね」
「灰羅川さんはこっちの方が話しやすくていいと思うけど?」
ーー「ていうか未来でいいよ。そんなさん付けなんてさ」
「ああ...まあいいならそうするけど。」
ーー「じゃ、人来たしまた放課後ね」
「あぁ...わかった」
そして生徒が揃うと、さっそく1時間目の生物基礎が始まった。
日によって授業は変わる。
今日は実験の日。
班になって4人グループを作る。
ただ、俺は「実験」などはできない。
それは今にわかることだ。
ーー「氷ーくん?これお願いしていいですか?」
ーー「氷...くん?涼男って灰羅川さんにそんな呼び方されてるのか?」
「え...まあそういうことだ...。あと未来...俺実は実験できないんだよね」
ーー「どういうこと?」
「ほら俺ってそういう体質だろ?」
ーー「氷結の王か?」
「そうそう...だからさ、プレパラートとかなんかは俺が触るとパキパキになって、壊れやすくなるんだ」
ーー「確かに...でもそしたら水とかは?」
「一瞬で凍るわけじゃない...だから一瞬で使うとかならできるな」
ーー「なるほど」
そう、俺は実験ができない。
あらゆるものを触っただけで、時間差で凍らせてしまうし、なんでも自動で徐々に冷たくなる。
だから、シャーペンなどを持っている時はめちゃくちゃ冷たい思いで授業を受けている。
なので、俺は新たに見学係として実験を見学した。
「へぇーそうなるんだな」
ーー「すごっ!」
ーー「すごいですね!」
ーー「すごい...!」
(あれ?...陽王なんで1人なんだ...?)
視界の先には、1人で俺と同じように座っている陽王がいた。
実験が怖いとか、失敗するのが怖いとかだろうか。
一番最悪なパターンは「いじめ」だ。
けどこの学校の教師がそれを見過ごすわけがない。
だがそこで、授業が終わった。
教室に帰った俺は、図書室で借りていた本を返しに行った。
「これ返します」
ーー「はーい」
(.....ん?まさかあれは!!)
ーー「はいどうぞ」
「..........」
ーー「あのー...終わりましたけど?」
ーーーーー陽王が図書室の隅で座っていた。
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