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第2話 灰羅川とミステリアス陽王



 あれから数分が過ぎた。

 みんなが帰るのと同じように、俺もスマホをいじりながら帰っていた。



「エアコンねー...みんなパニくるだろうなー」



 呑気にそう独り言を言った俺は、とんでもないことに気がついてしまった。



「待って...リュック忘れたあぁぁぁ!!」



 俺はバカなのかもしれない。

 何も背負わず、スマホだけ片手に持ってふらふらと帰っていたのだ。


 学校に戻る途中、俺はいつのまにかスマホ依存症になっていたのではないかと疑う。

 ただスマホは全然使ってないし、ただのドジっ子だと解釈した。


 そして、学校の教室に着く。



「忘れ物...忘れ物...あった!...え?」


ーー「.........」


「.........え?どうしたの」



 忘れ物を取りに、机の脇からリュックを持ってまた帰ろうとした。

 だが、俺の他にもう1人の女の子がいた。

 俺とは逆の、窓側で一番後ろのベストポジションにその子が顔を伏せていた。


 近づこうとしたが、急に大きな声を出して止められた。



「あのー...大丈....」

ーー「こないで!!」


「え...?でも、何やってるんだ?エアコンもないのに」


ーー「...早く出てって!」


「あぁごめん!わかったよ...」



 話そうと思ったが、話せる余地もなかったので俺は仕方なく家に帰った。

 部屋に入ると、スマホの通知が鳴った。


 今日作られたばかりの、グループラインだった。

 みんなが挨拶や、雑談をかましている。



ーー「みんなよろしくー!」


ーー「よろしくー」


ーー「よろ!エアコンなしはマジで死ぬわー」


ーー「それな!」


ーー「常に家に涼男がいたらなー」


ーー「マジそれ!やばかったよね!」


ーー「女子は近づきにくかったけど!」


ーー「涼男ー!このライン来て俺たちを涼ませてくれぇぇ!!」



(やっぱり...中々厳しそうだなこいつら....てか俺が来ても涼ませられるわけないだろ!)



 その後も、みんなは挨拶とエアコン故障などの話題について話し合っていた。

 ただ俺が返信したらまた騒ぎ出しちゃうのでやめておいた。


 しかし、個別ラインで誰かから連絡が来ていた。



「ん...?個別...?誰だ」


ーー「灰羅川でぇぇす!!よろしくお願いします」



(え...?未来?...え...学校と全然キャラちがうんだけどおぉぉ!?)



「おう...よろしく!学校とキャラ全然違くない?笑」


ーー「それよりも...エアコン壊れるとかやばくねー?なおさらクーラー係頼りになりますー」


「あぁ...まあそうだな。」


ーー「誰かと話した?」


ーー「グループのやつとかはまあ話したけど...」



(俺を追い出したあの子は...判定外だよね...?)



 俺は思い出した。

 この未来のクーラー係となったことに。

 けど、俺が嫌なのはくっつきすぎて「彼女」と見られることだ。


 ただそれとは別に、ラインの返信がきた。



ーー「グループの人はいいけどね?それ以外は誰とも話さないって約束できる?」



(は...?え...?もしかして束縛系か!?そんなの絶対に嫌だぁぁ!!)



「いやー...俺はみんなと平等に接し...」

ーー「だめだよ?」



(いやまだ送ってねぇよ!?こいつ予測能力高すぎない?)



「分かった...クーラー係としては役に立ちます。けど俺はみんなのクーラー係でありたい。死んじゃったりしたら困るしね」



(...あれ...?既読ついたのに返信こねぇぇぇ!!!やらかしたか!?)



 あんなに即返信してきた未来は、この俺の文章を見た途端に、連絡が途切れた。

 明日からの学校が楽しみでもあるけど、それとは別に怖すぎる!


 不安な想いも募らせながらも俺は眠り、次の日になった。

 朝になったけど夜間学校なのを忘れては行けない。

 

 17時の登校時間まで、俺は本を読んで時間を潰し、ついにその時がやってきた。



「学校学校!よし、到着!」


ーー「あ、氷くんこんばんわー」



 俺は浮かれすぎていた。

 学校だからって、何不自由ないからってこのことを忘れていた。



(未来ぃぃぃぃい!!!!)


「あ...えーっとー.........こんばんわ灰羅川さん!」


ーー「昨日のこと...覚えるよね?」


「は...は、、はは、はい......」


ーー「私ね...?一番にこの学校に来たの。そして、私しかいない教室であなたが来た。」


「ごくり...」


ーー「今この教室には、私とあなたしかいないの」



(いや怖えぇぇよ!!確かに俺と未来しかいないけど何始まっちゃうんだ!?)



「そう...ですね?」


ーー「じゃーあー...抱きついても...いいかな?」


「え...いやいや!!ダメでしょ!!」



 誰もいない、この教室で未来は俺に抱きつこうとしてきた。

 ただ、誰もいないからってそんな彼女みたいなことしてはいけない。

 俺はきっぱり断った。



(やばいやばいやばいぃぃ!!どうしたら...!)



「俺に触れたら低温火傷するぜ!?」


ーー「そこは火傷するぜ?でしょー...?」


「俺の場合は逆なんだよぉぉぉぉ!!」



 ただ止められなかった。

 あと数センチで俺は抱きつかれる。

 エアコンがないとなると、みんな俺の冷気を求めてやってくることは前々から知っていた。


 だが触れたらマズいんだよ!



ーー「皆さんこんばんわー!!緑川です!」


ーー「ちっ!」



(はぁ...はぁ...マジか!よかったぁぁ....)



 抱きつかれる瞬間、後ろの扉から人が入ってきた。

 その途端に未来は抱きつくのをやめ、入ってきた人にそれらしく挨拶をした。


 とりあえず俺は未来を低音火傷させずに、怪我をされることなくこの危機を逃れたのだ。


 そして人がどんどんと集まり、1時間目の授業が始まった。



(数学...俺苦手なんだよなー....)



ーー「はい...ここの問題を...」



(え...何あれ。何をシャッフルしてるんですかぁ!?それってもうくじ引きで決めるってことー!?)


(頼む!やめてくれぇぇ!!)



ーー「はい、陽王(ひおう)


ーー「はい...わかりません」


ーー「なんでわかんねぇんだこのやろう!!」


ーー「わからないからです」


ーー「.....だから何でわかんないのか聞いてんだ!」


ーー「わかんないからです」


ーー「えぇ....俺の言葉の意味わかってる...?」


ーー「わかんないからです」


ーー「あぁ...壊れちゃった...」



(いや強っっよ!!あの子って放課後1人で俺を追い出した子だよな!?強すぎでしょ....先生もびっくりしてるわ...)



 数学の問題は陽王という、昨日俺が忘れ物を取りに行った時に俺を追い出した子だった。



(ひおう...っていうのか...今日もいるかな...)



 数十分後。

 数学の授業が終わり、俺は2時間目と3時間目をようやく突破した。

 授業中には、放課後わざと残って気になったあの子に話しかけようと決めた。


 そして、放課後となる。



ーー「ねえ氷くん?みんな帰っちゃったね」


「まあな...今日もみんなに隣にいられて涼しいーって言われたよー...」


ーー「そりゃそうでしょうね...エアコンがない今の時代、もうあなたがいないとみんな生きていけないし」


「で...何が用件なんだ?」


ーー「一緒に帰りませんかってことです」


「あ...でも、、、」


ーー「どうですか?」



 忘れてはいけない。

 陽王は案の定、まだ教室の隅の机で身を伏せている


 今日は灰羅川と帰り、陽王のことを何か知っていないか話すか。

 それとも陽王にまた怒られると思うが、どうしてそこにいるのか直接話すか。



ーーーーー「あと1分だけ...待ってくれ」




























第2話です!

完結予定と神作に絶対なるのでブクマや評価感想など、よろしくお願いします

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― 新着の感想 ―
設定は面白い、基本的に会話中心なのでコメディっぽい出だし、まだ始まったばかり今後に期待したい!
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