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魂と鋼の魔女  作者: カミサマ
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第68話 竜殺しの巨兵

第68話 竜殺しの巨兵


 黒岩ダンジョン最深部。


 三人の前には巨大な地下空洞が広がっていた。


 天井は遥か頭上。


 巨大な支柱が幾重にも並び、まるで地下神殿のような光景だった。


 その中央。


 かつてドワーフ族が築いたと思われる巨大な格納庫が存在していた。


 無数の魔導ケーブル。


 朽ちた作業台。


 崩れた足場。


 そして――


「……大きいわね」


挿絵(By みてみん)


 クロエが思わず呟いた。


 そこに眠っていたのは巨大な人型兵器だった。


 全高十五メートル以上。


 全身を銀白色の金属が覆い、胸部には巨大な魔導炉が埋め込まれている。


 肩には砲門。


 腕は攻城兵器のように太い。


 まるで戦争そのものを形にしたような怪物だった。


「うわぁ……」


 ジンが目を輝かせる。


「凄いですね」


 まるで子供のような反応だった。


「こういうメカニックな感じって男の子は憧れちゃうなぁ」


 クロエとユナが無言でジンを見る。


「あっ」


 ジンが慌てた。


「でも女の人には分かんないか……」


 クロエの眉がぴくりと動く。


「何ですって?」


「いや!」


 ジンが慌てて両手を振る。


「差別とかそういう意味じゃなくて!」


「つまらないかなぁって意味で!」


「今それ言う必要あった?」


 ユナが呆れた。


 その時だった。


 巨大兵器の両目が赤く輝く。


 地下空洞全体へ警報音が鳴り響いた。


【侵入者確認】


【防衛機構起動】


【脅威判定開始】


 低い機械音声が響く。


 地面が震える。


 巨大兵器がゆっくりと立ち上がった。


 ゴゴゴゴゴゴゴ……


 空気が揺れる。


 その威圧感だけで普通の冒険者なら戦意を失うだろう。


【対竜決戦兵器】


【グランドブレイカー起動】


挿絵(By みてみん)


「対竜決戦兵器?」


 クロエが呟く。


 ドワーフ族がアースドラゴン討伐のために建造した最終兵器。


 完成直前に鉱山が放棄されたことで封印されていた存在。


 それが今、目覚めた。


 さらに。


 四機の小型飛行ゴーレムが展開する。


 まるで護衛機のように巨兵の周囲を旋回し始めた。


 そして壁面。


 四方向に埋め込まれた巨大な魔導装置が起動する。


 紫色の光。


 異様な波紋。


「っ!?」


 クロエの表情が変わる。


 魔力が乱される。


 術式が組めない。


「魔力阻害装置!?」


 ドワーフ族がドラゴン対策として開発した対魔術兵器だった。


「厄介ね……」


 クロエが舌打ちする。


 しかし。


 ユナは不敵に笑った。


「問題ないにゃ」


 背中のミニガンを構える。


「デカい的ごと銃で撃ち抜けば良いにゃ!」


 次の瞬間。


 ダダダダダダダダダダダダッ!!


 轟音が地下空洞を揺らした。


 無数の弾丸が巨兵へ叩き込まれる。


 しかし。


 ガガガガガガガガガッ!!


挿絵(By みてみん)


 火花が散るだけだった。


「にゃ!?」


 ユナが目を見開く。


 装甲に傷一つ付いていない。


「ミスリル……」


 クロエが呟く。


 魔力耐性と物理耐久性を両立した最高級金属。


 しかも惜しげもなく全身へ使用されている。


「ドワーフ族、本気過ぎるでしょ……」


 その時。


 グランドブレイカーの巨大な拳が振り上げられた。


 直後。


 轟音。


 ドォォォォォン!!


 床が爆発した。


 巨大なクレーターが生まれる。


「にゃっ!」


 ユナは壁へ飛ぶ。


 そのまま垂直に駆け上がる。


 ウェアウルフの身体能力。


 超人的な脚力。


 壁。


 柱。


 天井。


 ユナは縦横無尽に走り回った。


 まるで銀色の流星だった。


 ダダダダダダダダダダッ!!


挿絵(By みてみん)


 移動しながらミニガンを乱射する。


 火花が散る。


 だが止まらない。


「硬いなら削り切るにゃ!」


 さらに加速。


 天井から急降下。


 巨兵の肩へ着地する。


 鋭い鉤爪を振るう。


 ギギギギギギッ!!


 火花。


 しかし。


 やはり傷は付かない。


「このぉぉぉ!!」


 何度も攻撃する。


 だがミスリル装甲はびくともしない。


 その時だった。


 四機のドローンゴーレムが動く。


 キィィィィィン……


 鋼鉄の矢が装填される。


「来る!」


 クロエが叫ぶ。


 次の瞬間。


 無数の矢が発射された。


 ユナは天井を蹴る。


 壁を蹴る。


 身体を捻る。


 紙一重で回避。


 だが。


 一矢がミニガンの砲身へ命中した。


 ガンッ!!


「しまっ――」


 砲身が逸れる。


 銃口がジンへ向いた。


 ダダダダダダダダダダダッ!!


挿絵(By みてみん)


 弾丸の嵐。


 直撃コース。


 しかし。


 誰もが目を疑った。


 銃弾が曲がった。


 ジンは避けていない。


 防御もしていない。


 ただ立っているだけ。


 それなのに。


 弾丸が彼を避けるように湾曲した。


 不自然な軌道。


 まるで空間そのものが歪んでいるようだった。


 弾丸はジンの横を通り抜け、そのまま背後の岩壁へ突き刺さる。


「……え?」


 ユナが固まる。


 クロエも言葉を失った。


 当の本人だけが首を傾げている。


「大丈夫ですよ?」


「何がよ!?」


 クロエが思わず叫んだ。


 だが。


 今は考えている場合ではない。


 クロエは腰のホルスターから二丁の自動拳銃を抜く。


 黄金の瞳が輝く。


 狙うのは巨兵ではない。


 ドローンでもない。


 鋼鉄の矢。


 黄金の瞳が持つ超動体視力。


 その超人的な動体視力と銃の腕を駆使して放たれた瞬間を撃ち抜く。


 パンッ!!


 矢の先端へ命中。


 軌道が変わる。


 鋼鉄の矢は壁面へ突き刺さった。


 爆発。


 一基目の魔力阻害装置が吹き飛ぶ。


 クロエの口元が吊り上がる。


「なるほど」


「そういうことね」


 次々と放たれる矢。


 次々と撃ち抜く。


 パンッ!!


 パンッ!!


 パンッ!!


挿絵(By みてみん)


 四基全て破壊。


 その瞬間。


 魔力が戻った。


「反撃開始よ」


 クロエが笑う。


 ユナも牙を見せた。


「待ってたにゃ!」


――続く。

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