7 七月考査(3)
遅くなりました。あまり考えずに書き出した話なのでどうしようかな・・・と。ちょっと迷走してました。今回は無理やり区切りを付けた感じです。
「―――だから、₈C₃で56通り。理解できたか?」
「・・・うん。頭がパンクしそうだけど。」
陽川と一緒に勉強しだしておよそ一時間。数Ⅰばかりでは辛くなってきたのか、途中から数Aに変わっていた。
ここまで来て、分かったことがある。
(進まねぇ!!)
隼人自身の勉強が全くと言っていいほど進んでいない。
教えることで隼人の勉強にもなっているのだが、既にやったことのあるプリントであるため効率のいい勉強にはなっていない。
原因は陽川の質問がとどまるところを知らないからだ。別に遠慮してくるよりはいいのだが、それにしたって多い。
(え?こんなに分からないところが多いとかまずいんじゃ・・・?テスト一瞬間前なのに間に合うのか?)
「・・・あのさ。」
「ん?」
「陽川さんって今までどうしてたの?」
「ええと、何を?」
「テスト勉強。」
「えーと、友達に勉強できる子がいて、その子と通話つなげて徹夜でやってた。」
この勉強できる友達とは、おそらく高坂のことだろう。高坂は隼人と同じく学年一桁だと聞いている。
それにしても、徹夜とは。
隼人は徹夜の勉強は断固反対派だ。確かに限界まで勉強をしたという達成感は得られるし、事実勉強時間は増える。それに夜型の人なら効率もいいかもしれない。
しかし、テスト自体は午前にある。
隼人は知っている。徹夜翌日は非常に頭が働かないということを。徹夜中は頭が覚醒して全く眠くないのだが、日が高くなるにつれて強烈な睡魔が襲ってくる。あれに抗うのは至難の業だ。
さらに、徹夜中に覚えたことをそのまま覚えていられるかと問われると、そのテストのときぐらいだったら大丈夫だろうが、その次、またその次となってくると忘れているだろう。
そして、同じく徹夜する羽目になる高坂がかわいそうだ。
「・・・はぁ、今回は徹夜しなくて済むようにしような。」
「・・・努力します。」
♢
「・・・阿江さん。」
「ん?」
「その、そっち行っていい?」
「ぁ・・・ええと、なんで?」
一瞬よく考えずに肯定してしまいそうになったが、ぎりぎり耐えた。
しかし、これもまた隼人には理解できない要求だった。
隼人たちが座っているのは向かい合って座る形の二人席だ。どちらもソファであり、テーブルも広いため、詰めれば片方に二人座ることもできなくはない。それでも、狭くなってしまう。わざわざこちらに来る理由なんて――
「だって、そっちのほうが質問しやすいから・・・。いい?」
(この状況じゃそっちのほうがいいか。)
自分の勉強をしていることが多く、質問はたまにあるかどうか、というのが通常だろうが、現状はその比率が逆転している。
「あー、わかった。少し狭いけど、いいよ。」
「ありがと。」
(・・・狭いし、近い。)
分かってはいたことだが、肩と肩が触れ合うぐらいの距離になった。
親しい友人ならまだいい。しかし、陽川とはまだ友人にすらなっていないと思っている。陰キャとして、この距離感は少し苦手だ。
(はぁ。・・・まぁ、慣れるまでの辛抱か。)
隼人の予想では、陽川にとってこの距離感は普通なのだろう。おそらくこれからも変わることはない。
行きつけの喫茶店がかぶってしまった以上、それには慣れるしかないと諦めた。
「これってどうやるの?」
「ええっと――」
これじゃ質問されてるというより解き方を全部教えてるな、と呆れつつも教えるのを再開した。
今のところ隼人視点ばかりですが、このままだとラブコメとして面白くないだろうな、と思ったので、ヒロイン視点を入れようと思います。隼人は彼女つくろうとか考えてない系の人なので。というわけで、次話は陽川紗季視点で、喫茶スギで助けてもらったところからにするつもりです。できるだけ早く書くよう努力します。




