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第3階 よく見ると、なんか顔も可愛くない?

ノンビリとキマジメは第3階層にたどり着いた。


「はー…、なんか疲れたな…」


ノンビリは早速腰を下ろす。


「おい、休んでる暇はないぞ。妹を助けに行くんだろ」


「だって、歩き疲れて足がパンパンなんだよ。少し休ませてくれよ」


ノンビリはもう床に腰を下ろしている。


「お前は全く…」


キマジメも呆れつつ、腰を下ろした。


「全く、こんなんじゃいつまでもたってもダンジョン攻略なんかできないぞ…」


キマジメが愚痴をこぼす。


「お、あれはなんだ?」


ノンビリは遠くの方を指さした。


「…ん?誰かいるのか?」


キマジメはノンビリの指さした方を見る。


そこには銀髪のボブの女性が1人彷徨っていた。


水色のオフショルダーのセーターに、黒のロングスカートに茶色のブーツを履いている。


「どうやら1人みたいだな」


キマジメが言った。


「どうするの?声をかけるの? 」


ノンビリが聞く。


「ちょ、おまっ、ナンパみたいに言うな!」


キマジメが大声を出す。


「キマジメ、大声を出すなって!聞こえたらどうするの?」


「お前がださせたんだろうが!」


キマジメは女性の方を見る。


女性はこちらに気がついていない様子で、辺りをキョロキョロしている。


その顔はどこか不安そうだ。


「よく見ると、なんか顔も可愛くない?」


「なんで俺の方を見るんだよ…」


キマジメが呆れたような声を出した。


「ほら、キマジメ、声をかけてこい!」


ノンビリはキマジメの背中を押した。


「おい、お前、押すんじゃ…」


キマジメはふらつきながら、その女性の元に出た。


「…な、なんですか?」


女性は少し戸惑ったような表情を見せた。


「あ。いや、僕は決して怪しい者では…」


キマジメは何とか怪しまれないように必死に取り繕った。


その姿がまた女性を不審がらせたのだろう。


「あの…。私はそういうのは…」


女性は少し引いているような感じだった。


キマジメは改めて状況を理解した。


女性1人で不安な所で、いきなりよくわからない男が目の前に出てきたら、誰だって警戒するだろう。


「キマジメ、何してんだよ!」


痺れを切らしたノンビリが駆け寄ってきた。


「お前が押すからだろ!」


思わず大声を出して、キマジメは女性の方を見る。


女性は不安な表情を浮かべて、いかにも涙ぐみそうな感じだった。


「あの、俺たち冒険者なんだ。お姉さん1人で歩いているのが気になってさ。よければお話が聞きたいな…なんてね」


キマジメは精一杯の優しい言葉と優しい笑顔で女性に語りかける。


「…はい、わかりました…」


女性は小さい声でうなずいた。




「私、シトヤカと言います」


シトヤカは自己紹介した。


「シトヤカさんはどうしてこのダンジョンを彷徨っていたの?」


キマジメはまだ精一杯の言葉と笑顔でシトヤカに話しかけている。


「…実は私、元はあるパーティーでダンジョン探索をしていたんです 」


「へぇ、そうなんだ」


ノンビリが相槌を打つ。


「ヒーラーとして活躍していて、仲間が傷ついた時にはよく回復していたりしていました」


「あぁ、なんか、なんかいいな」


ノンビリが言う。


「意味ありげに言うなよ」


キマジメがつっこむ。


「その、他のパーティーのメンバーは今、どうしてるの?」


ノンビリがシトヤカになかなかデリケートな所を聞く。


「…実は、私、パーティーを解雇させられたんです」


シトヤカがうつむきながら言った。


「え?解雇?」


キマジメが聞き返す。


「私、ヒーラーですから回復魔法しか覚えていなくて…。攻撃魔法を1つも覚えていなくて…」


シトヤカの声が震えてきた。


「…それで、パーティーのリーダーに『お前は回復するだけで何にも役に立たない』って言われて解雇されたんです」


「ひでぇ…」


ノンビリとキマジメは思わず声を失った。


「…それで行くあてもないので、このダンジョンを彷徨っていたのです」


シトヤカはまだうつむいている。


「そ、そうなのか」


「女性が1人でダンジョンをうろつくのはなんか危なっかしいな…」


ノンビリが言う。


「…お前がそれ言うの?」


キマジメが横目でノンビリを見る。


「…シトヤカさん」


「…は、はい」


ノンビリはシトヤカの方を見る。


「もし良かったら、俺達と一緒に行動しませんか?」


「…え?」


シトヤカは聞き返す。


「女性が1人でダンジョンをうろつくのは危険だし、何よりうちのパーティーって回復役がいないんです。シトヤカさんがよければ一緒にパーティーを組んでほし…」


「いいですよ」


シトヤカが食い気味に返事をした。


「え?組んでくれるの?」


キマジメが聞き返す。


「最初はびっくりしましたが、お2人ともそんなに悪い方ではなさそうなので…」


シトヤカは伏し目がちに言った。


「やった!嬉しい!」


ノンビリはその場でジャンプした。


「これからよろしくね、シトヤカさん」


ノンビリはシトヤカに笑顔を見せた。


「…あ、はい、よろしくお願いいたします…」


シトヤカは恥ずかしそうに言った。


「俺はノンビリ。よろしくね」


ノンビリは自己紹介した。


「…よろしくお願いいたします、ノンビリさん」


シトヤカはようやく笑顔を見せた。


「俺はキマジメ。よろしくな」


「…よろしくお願いいたします、キマジメさん…」


シトヤカはキマジメにはまだ警戒している様子である。


「なんか俺、警戒されていない?」


「恥ずかしいだけじゃない?」


ノンビリがすっとぼけた返事をする。




こうして3人は第4階層に挑むのであった。

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