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第24階 実の姉をいたわる心使いはないの?

「ほらキマジメ、しっかりして!ちゃんと歩いて!」


ウットリがキマジメを鼓舞する。


「大丈夫だよ姉ちゃん、そんなに疲れてないから」


キマジメは鬱陶しそうにウットリの手を払いのける。


「キマジメ、あんな美人が心配してくれるっていうのになんだよその態度…」


ノンビリが軽蔑の眼差しでキマジメを見る。


「いや、俺の姉ちゃんだよ!」


キマジメがツッコむ。


「キマジメさん、お姉さんなら尚更大事にしなくてはいけないと思いますよ」


シトヤカがキマジメをたしなめた。


「シトヤカさん、その本気のトーンやめてよ… 」


キマジメのトーンも下がった。


「だいたいこんな綺麗な姉ちゃんが弟の心配をしてくれることなんてそうそうないぞ」


レイセイも加勢する。


「うるさい!ほっとけ!」


「こらキマジメ、そんな言葉遣いしないの!」


ウットリがキマジメを注意する。


「ちょっとほっといてくれよ!」


キマジメはもはや誰に怒りをぶつけていいのか分からなくなった。




「やっと24階か…」


ノンビリ達は階段を登り終えた。


「ここの階段って結構急じゃない?」


ウットリが息を切らしながら言った。


「姉ちゃんが体力ないだけじゃないの?」


キマジメがさっきのお返しとばかりにウットリに嫌味を言う。


「あんたねぇ…、実の姉をいたわる心使いはないの?」


ウットリはキマジメを横目で見る。


「悪いけど、これは姉ちゃん似なんでね」


キマジメは徹底している。


「あんた、後で覚えておきなさい…」


「あ、あそこにお店がありますよ」


シトヤカが遮るように言った。

 

「あ、ホントだ」


ノンビリも遮るように言った。


「あら、ホントだ」


ウットリもお店の方に意識が向いた。


「ちょうど装備とか変えなきゃいけないと思ってたんだよ。姉ちゃんもどう?」


キマジメは話題を変えるかの様に、ウットリに話しかけた。


「…仕方ないわね…」


ウットリも店の方に向かう。




「いらっしゃいませ」


店の店員が挨拶する。


「装備はこれでいいか…」


ノンビリ達はそれぞれの装備を選んでいく。


「なぁキマジメ、これどう?」


ノンビリがキマジメに話しかける。


キマジメはノンビリを見て、目を丸くする。


ノンビリは鉄の鎧を着ていた。


「おい、なんだその鎧は…」


「どんな攻撃も跳ね返してくれる鉄の鎧だよ」


「めちゃくちゃ動きづらそうだな」


キマジメは怪訝な顔をした。


「高い防御力が手に入るなら、スピードなど犠牲にしても大丈夫だよ」


「いや、早く動けなきゃ攻撃も受けられないだろ」


「は!そうか!」


「今まで気がつかんかったのか?」


「気がつかなかった…」


ノンビリは苦笑いをした。


「キマジメさん、私の魔法の杖はこれでいいですか?」


シトヤカがキマジメに魔法の杖を持ってきた。


「なんで俺の所に持ってくるの?」


「その方が確実だからです」


「何?『確実』って」


キマジメがツッコむ。


「へぇ、なかなかいい杖を選んだじゃない」


キマジメの後ろからウットリが覗きこむ。


「うわ!びっくりした!」


「でも、この杖は…」


「おい、普通に続けんなよ」


キマジメがウットリにツッコむ。


「ほら、シトヤカちゃんにはこっちの杖の方が使いやすいと思うわよ」


「はい、ありがとうございます」


「勝手に杖を選んでるし…」


キマジメはもう全てがどうでもよくなってしまった。




「レイセイはどんな装備を買うの?」


ノンビリがレイセイの所にきた。


「そうだな、弓矢って剣や槍と違ってあまり種類がないし、なかなかいいのが見つからないんだよ」


レイセイは商品を探しながら言った。


「へぇ、そりゃ大変だ」


ノンビリが商品を探しに行こうとすると、


「でも、弓矢には弓矢にしかない良さがあるんだよ」


とレイセイが切り出した。


「え?レイセイさん?」


「弓矢はどんなに遠くに離れていても、敵を倒すことができるんだよ。技術は必要だけど、倒した時の爽快感は何者にも変えがたいものがあるんだ」


「あ、これ止まらないやつだ」


ノンビリはレイセイに背を向けて買い物を始めた。




「ふー…、買ったわね…」


ウットリは買い物袋を抱えこんで店から出てきた。


「え、ウットリさん、そんなに買ったの?」


キマジメが驚く。


「あれやこれやって買っていたら、こんなにたくさんになっちゃって」


ウットリが舌を出して笑う。


「私のこの杖もウットリさんに選んでいただいたんです。とても手に馴染んで使いやすいです」


シトヤカがウットリに買ってもらった杖を出した。


「そうでしょそうでしょ。凄腕魔女が選んだ杖だからね」


「自分で言うのか…」


キマジメがツッコむ。


「あれ?レイセイは?」


ノンビリが言った。


確かにレイセイの姿がどこにもない。


「お店かな?」


キマジメが店の方を見る。


「ちょっと見てこよう」


ノンビリ達は店に戻った。




「あの…、もうちょい安くしてもらえませんか…」


レイセイはレジにいた。


「あいつ…、値切り交渉してるよ…」


キマジメが軽く引いている。


「かなり真剣ね…」


ウットリもドン引きしている。


「あの、値引きは受け付けていない…」


「そこをなんとかお願いします!」


レイセイは頭を下げた。


「どうする?知らないふりする?」


ノンビリが言った。


「一応待ってみましょう…」


シトヤカが言った。




レイセイが帰ってきたのはその30分後だった。


「あれ、みんなどうしたの?」


レイセイが聞く。


「なんでもない。さぁ、行くよ」


ノンビリの合図で一行は次のフロアに向かう。


「なんかよそよそしくない?」


レイセイだけは何かなんだかわかっていない様子だった。    

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