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第22階 罠にかかってるやんけ!

「22階か…」


階段を登ったノンビリは腰を下ろした。


「いや、すぐ座るなよ…」


キマジメが呆れた感じで言った。


「だって、スゴい疲れたんだもん…」


ノンビリは疲れたような声を出した。


「これは…長くなりそうだな…」


レイセイがポツリと言った。


「今日はここでテントを張りましょうか」


シトヤカは苦笑いしながら言った。


「いやシトヤカさん、甘やかしちゃダメだよ。そんな感じじゃコイツのためにならない」


キマジメはノンビリに向かって、


「おい、ノンビリ!立て!妹を救うんだろ!こんなとこで立ち止まるな!」


と喝を入れた。


「キマジメ、なんだよ…。ゆっくり寝かせてくれよ…」


「…コイツ…」


キマジメは拳を握りしめた。


「もう知らん!そんなにゆっくりしたいなら、いくらでもゆっくりしてればいいんだよ!なぁ!」


キマジメが振り向くと、そこにノンビリの姿はなかった。


「え?どこに行った?」


キマジメは目をこらして見た。


さっきまで座り込んでいたはずのノンビリがいないのだ。


「そんな…。ノンビリさん、さっきまでそこにいたのに…」


シトヤカも目を丸くする。


「そういえば、さっき変な音がしたんだ」


レイセイが言った。


「なんか『ガチャ』っていうような何かが開くような音だったな」


「それって…」


キマジメは間を置いて、


「罠にかかってるやんけ!」


と叫んだ。


「え?罠が仕掛けられていたんですか?」


シトヤカが目を丸くする。


「どうやらそうみたいだな…」


レイセイが言った。


「ど、どうしよ、ノンビリがいなくなってしまった…」


キマジメが慌て始めた。


「さっきまで『ゆっくりしてればいいんだ』って言ってたとは思えないな…」


レイセイが苦笑いで言った。


「落ち着けよキマジメ、ノンビリは運だけはいいだろ?」


レイセイはキマジメをなだめた。


「そ、そうだな、アイツはそう簡単にやられないよな!そ、そ、そうだよ!」


キマジメは強がっているが、声が震えている。


「おそらくノンビリは罠にかかって、どこかに飛ばされたんだ」


レイセイは現場を見回しながら言った。


「『罠』・・・ですか」


シトヤカが聞いた。


「おそらく前に冒険者が魔物を倒そうと仕掛けたんだろうな。その罠がまだ残っていたんだ」


レイセイが言った。


「じゃあ、ノンビリはその罠にまんまと引っかかってしまったのか」


「おそらくな」


「普通の冒険者だったらすぐに見分けられるような罠なんだな?」


「まぁ、絶対ではないけどな」


「ノンビリはまんまと引っかかってしまったのか…」


「キマジメ、さっきから悪意が滲み出ているぞ」


レイセイがツッコむ。


「と、とりあえずノンビリさんを探しましょう」


シトヤカが促した。


「全く、あいつはどこに行ったんだよ…」


キマジメは文句を言いながら、ノンビリを探し始めた。


「おいノンビリ、どこにいるんだ?」


「ノンビリ!」


「ノンビリさん、どこですか?」


3人はそれぞれ呼びかけるようにしてノンビリを探した。




「…見つからかない…」


あれから3時間。


ノンビリはまだ見つからない。


「そっちは見つかったか?」


レイセイが呼びかける。


「…こっちも見つかりません…」


シトヤカも残念そうな顔をした。


「まさか、本当に罠に引っかかって…」


キマジメの頭に嫌なことがよぎった。


「俺、あいつに嫌な態度を取ってしまったな…」


キマジメはうつむき加減に言った。




ノンビリとキマジメは小さい頃からの幼なじみだ。


2人はよく勇者ごっこをして遊んでいた。


日が暮れるまでよく遊んだものだ。


ある日、ノンビリはキマジメに言った。


「俺、大きくなったら絶対勇者になるんだ」


「え?お前みたいにのんびりしている奴には無理だろ」


キマジメは引き止める。


「あぁ、そうだな」


ノンビリはそこで言葉を切る。


「だからさ」


ノンビリはキマジメの方を見る。


「キマジメと一緒に冒険したい」


キマジメは驚いた顔をした。


「俺と……?」


「うん、キマジメと一緒に旅したいんだ」


「…なんでだよ?」


ノンビリはそこで恥ずかしそうな顔をした。


「だって、俺はキマジメがいないと何も出来ないんだよ」


ノンビリは照れ笑いした。


キマジメはたまらず笑う。

 

「…しょうがねぇな、一緒について行ってやるよ」


「ホントに?」


「あぁ、約束な」


キマジメは笑いながら言った。




「……クソ、なんでこんなこと思い出すんだよ……」


キマジメは頭を抱えた。


「……ノンビリ、出てきてくれよ…」


キマジメはポツリと呟く。


「頼むから、出てきてくれ!ノンビリ!」


キマジメは叫んだ。


「…はい」


誰かの声がした。


「誰だ?」


レイセイが声がする方へ向かった。


そこには、ノンビリがいた。


「え?」


レイセイは固まった。


「いや、皆さん、ご心配をおかけしました…」


ノンビリは決まりが悪そうに頭を下げながら出てきた。


「ノンビリ……、お前、罠に落ちたんじゃ……」


キマジメがノンビリに聞く。


「あぁ、あれか。点検用の扉にハマってしまってさ…」


「点検用……?」


キマジメは何がなんだか分からなくなってしまった。


「とにかく良かったです。何事まなくて」


シトヤカが声をかける。


「うん、キマジメ、どうしたか?」


 

「あ、いや、なんでもない」

 

キマジメは慌てふためいた。


今の気持ちはとりあえずしまっておくことにする、キマジメであった。

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