これからの話2
「この国の軍って、常に人手不足で物資不足ですし……【ドロップ】が知られたら、相当面倒なことになると思います」
「あ、待った。俺その辺りをほとんど知らないんだけど……えーと、デモン? の事も含めて」
「おお、そこは儂が解説してやろう」
言いながらシロナが指をパチンと鳴らすと、空中に輝く板のようなものが浮き上がる。
そこには、なんだろう。絵のようなものが描かれている。
「あの、これって……」
「大陸地図じゃの。さて、まずザックリ言うと……この大陸は【モンスター連合国】とそれ以外に分かれておる」
「それ以外って」
「主にお主の居た人間の国などじゃな。幾つもの国に細分化されとるから、解説するのはめんどい」
地図、とかいう絵にモンスター連合国、それ以外、という文字が追加される。ふむふむ、なるほど。
「この二勢力の間は険しい山脈によって分かたれておる。アトラグスの大壁、とも呼ばれるものじゃが……これによって、互いの交流は最低限となっておるわけじゃな」
別に仲が良いわけではないがの、とシロナは付け加えるが……どうにも、それには理由があるらしい。
「まあ、平たく言うとデモンフォースの存在じゃの」
「そういえば、何か言ってたよな。でもアレ、向こうの国じゃモンスター扱いだったはずなんだが」
「カカカ、確かにのう! レッサーゴブリンにウーズ。ホブゴブリンだのオークだのといったのも居たかの?」
「あ、ああ」
「ゴブリン、スライム、オウガ。これ等はモンスターではあるが、生態の似ているウーズやオーク、ましてやレッサーだのホブだのとつくゴブリンはモンスターではない」
モンスターじゃない? なら、なんだっていうんだ。
「これら全て、デモンフォースの尖兵よ。世界崩しの主犯、此処ではない何処かより来たる魔なる者ども。それ故に……デモンの事を、魔族と呼ぶ者もおる」
「そのデモンとかって連中は何がしたいんだ?」
「不和じゃろうな、人間とモンスターの。事実、それで過去に大規模な戦争になりかけておる。それ故のアトラグスの壁じゃよ」
しかし、とシロナは付け加える。
「これは単純に歴史の授業に過ぎぬ。遥か昔より始まり、遥か未来へと続いていく終わりなき闘争の話じゃ。人間とモンスターがデモンのせいで仲が悪いと覚えておけばよい」
「あ、いや。待った。でもそれなら神様が伝えればいいんじゃないのか? シロナが俺に会いに来たみたいに……」
「無理じゃな。主流神どもにとっては、モンスターはどうでもいい存在に過ぎぬ。儂のような『はぐれ』や悪神連中が囲っておるからの」
「……ん? それって」
「うむ、気付いたか」
「もしかして……俺って『モンスター』の前提条件を満たしてるんじゃ」
「正解じゃ!」
主流神にどうでもいいと思われて、はぐれのシロナに囲われている。ああ、そうか。俺、とっくにモンスター枠だったんだなあ……。
「さて、レイドが現状を正確に認識できたところでバトンタッチじゃ」




