これからの話
「あ、目が覚めましたか?」
「そのようじゃのう」
目を覚ますと、女の子2人が俺の顔を覗き込んでいた。敵対的じゃない視線っていうのは、中々慣れないな……。
「此処は……?」
「私の家です、レイドさん」
「そっか。悪いな、俺みたいなのを……」
「何言ってるんですか。レイドさんの事情はシロナ様から再度説明を受けてますけど……レイドさんは何1つ悪くないじゃないですか。むしろ人間たちの神様が酷すぎます!」
「ああ。俺もそう思う。だから、シロナに拾われてよかったと思ってる」
「そうそう。そうですよ! だからそんな卑下する必要なんてないんです。何より……レイドさんは、この村の救い主なんですから!」
救い主……救い主、か。俺がそんな事を言われる日がくるなんてな。
「……ありがとう。そう言ってくれて、嬉しい」
「えへへ」
照れたような表情をするイチェリアだったが……その横で、シロナが何やら面白い玩具を見つけたような顔をしている。な、なんだ? 俺、なんか変な事言ったか?
「いつの間にやら敬語も抜けて、『らしさ』が出てきたのう、レイド?」
「え? あっ! す、すみませんイチェリアさん」
「いえいえいえいえ! いいんですよレイドさん! むしろさっきのままの方がいいです!」
「ですが……」
「レイド。女子の頼みは聞くものじゃぞ?」
「うっ……で、ではイチェリアさん」
「イチェリア、で」
「……イチェリア」
「はい!」
にっこり笑うイチェリア。うーん……今まで女性と深く関わってこなかったからなあ。皆、こんなに押しが強いんだろうか?
「俺も、どこかで暮らしたいと思うんだけど……何か、俺に出来るような、というか雇ってくれるような仕事ってあるかな?」
「そうですねえ。薬屋さんとしてやっていけると思いますけど……でも【ドロップ】の事を考えれば……あっ」
そこまで言って、イチェリアは「そうだ、その件です!」と声をあげる。
「たぶんですけど……そのスキルの件、あまり広めるべきじゃないと思います」
「といっても、この村で盛大に公開しちゃったんだが」
「この村のゴブリン達がバラすことはないです。ゴブリンは、恩を仇で返すような真似はしませんから!」
「そ、そうか」
こうして改めてイチェリアを見ても、普通に可愛い女の子だ。レッサーゴブリンなんかとは全然違う。俺って、世界の事を全然知らないな……。




