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これからの話3

「あ、はい。えーと、お仕事の話でしたよね?」

「ああ。心当たりがあるのか?」

「心当たりっていうか……【ドロップ】を活かすしかないんじゃないでしょうか」

「でも隠したほうがいいって話じゃなかったか?」

「それはそうなんですけど、その辺りは村の方でもある程度フォローできますし」

「うーん……」

「レイドさんの【ドロップ】の効果を考えれば、特に商品を限定しないタイプのお店になるとは思いますけど……」


 なるほど、確かにドロップで手に入る品を俺が限定できるわけじゃない。今までの傾向を考えれば、ただの草を刈っても薬草はドロップしない。『加工済みの薬草』をドロップするためには、生えている薬草を刈る必要がある。この辺りを考えると、俺の【ドロップ】は倒した相手に関連するものをドロップしやすい能力と考えて間違いない。たとえばの話、畑の作物を引っこ抜いたら加工済みの作物がドロップしそうな気がする。

 ……まあ、草からナイフやらお金やら出てくるのを考えると「しやすい」以上の事は断言できないのだけれども。


「……確かに、そうなるだろうな」

「でしょう?」

「でも、店舗を構える金をまず稼がないと……」

「あ、それなら村長が家を用意するって言ってましたから希望を出せばいけるんじゃないかと」

「えっ」

「村の恩人には留まってほしいですしね、やっぱり」

「それは……ああ、嬉しいな」


 嬉しいけど……とんとん拍子に良い方向に話が進み過ぎてて、逆に不安になるな。

 俺、ちゃんと商売とか出来るのか……物の相場も知らないぞ。


「あのー、それで……ですね?」

「え? あ、ああ」

「レイドさんと親しいということで、私がレイドさんのお世話役も仰せつかってまして」

「お世話役?」

「はい。お店をやるなら私の【追跡者】の能力も役立つと思いますよ? たとえば仕入れとか相場確認とか。色々応用の効くスキルがありますし!」


 ……うん、有難い。有難いけど……いいんだろうか? 彼女にだって自分の生活があるだろうに。


「いいのか? 君にだって仕事があるだろうに」

「ないです」

「えっ」

「お恥ずかしい話、私のスキルって単発の仕事以外じゃあまり使いようがなくて。配達人の真似事してたくらいなので……」


 アハハ……とちょっと暗い顔になるイチェリア。う、うーん……こっちの社会も中々に世知辛いんだなあ。でもまあ、そういうことなら。


「なら……よろしくお願いしてもいいかな、イチェリア」

「はい! じゃあさっそくお店の名前とか決めましょう⁉」


 やったー、定職だー! と叫ぶイチェリアをシロナが生暖かい目で見ているが……それはともかく。こうして、俺のモンスターとしての新しい人生が始まったのだ。

 上手くやっていけるかは分からないけど……きっと今までと比べたら、格段に良い人生だろう。

 俺はなんとなく、そう感じていた。


「ああ……明日は、きっと良い日になりそうだ」

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