誰得
「え? 行くって何処へ……」
「私たちの村へです! 導くは我らが身。願う場所へ辿り着く道よあれ! テレポータル!」
「おっと」
空いていた俺の手をシロナが掴み……俺達は、光に包まれてその場から消える。
そうして……光が消えた後に広がっていた光景は、想像を絶するものだった。
「な、なんだ……これ?」
「おうおう、これは酷いのう」
ぐつぐつと煮えたぎるように……紫色に泡立つ地面があちこちにあり、辺りに生えている草も毒々しい色をしている。なんだこれ……まさか、全部毒なのか?
イチェリアの言っていた村は、その中にあったのだ。そして、俺達を驚いたように見ていたゴブリン達のうちの1人が、俺達に近づいてきた。
「おお、戻ったかイチェリア……その方々は? 人間、ではないようだが」
「ただいま戻りました村長。こちらの方々は……神たるシロナ様と、その使徒たるレイドさんです」
「神……! まさか、地上に降臨されておられる方が!」
その場に跪く村長ゴブリンだったが、すぐに咳き込み崩れ落ちる……よく見ると、この場から見えるゴブリン達は皆顔色が悪い。それがこの環境にあるのは明らかだが……。
「見ての通り、この村は毒に侵されています。原因は、毒の力を振るうデモンですが……村の者総出で撃退してなお、かのデモンの残した毒は私達を蝕み続けているんです」
「ふむ。それでか」
「はい。ビッグポイズンウーズの毒を消したレイドさんの力があれば、この村の皆を救う事が出来ると思うんです」
それって俺の髪の毛を切って飲ませるとか? やったことないけど、効くのかな……。
「イチェリアよ。毒を消すとは……その使徒殿には、そのような力が?」
「はい。村長は特に毒の進行が激しいはずです……ですから」
「うむ……」
「今すぐレイドさんにキスしてもらってください」
「うむ?」
えっ? 今なんて?
「どうもレイドさんは毒耐性の効果をキスで相手にもたらす事のできるスキルの持ち主……! つまり村長にキスすれば」
「待って! 違うから!」
「しかし、儂の唇は妻に捧げたんじゃが」
「亡き奥様とて、許してくださいますよ」
「話を進めないでください!」
「あははははははははははははは!」
シロナがお腹を押さえて爆笑してるけど……笑ってる場合じゃないぞ⁉
ひえっ、村長がめっちゃキス顔してる⁉




