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その呼び方は心に来る

 俺のつたない説明を聞いた彼女は、難しい顔をしていた。

 ま、そりゃそうだよな。神様のシロナに、ジョブが【薬草】の俺。説明だけで理解しろってのがどうかしてる。


「……お話は分かりました」

「え? 分かったんですか?」

「そちらの方の大きすぎる気配。神々の一柱と聞けば納得できるものがありますから」

「えっと、俺は」

「ジョブ云々については分かりませんけど……そもそも、私が此処に来た経緯で納得せざるを得ません」


 言いながら彼女が示したのは、彼女の持っているペンデュラム。


「自己紹介が遅れました。私はイチェリア。ジョブは【追跡者】……探しているものを見つけ、追う力を持つジョブです」

「え、いいなあ……凄いカッコいい……」


 俺なんか【薬草】なのに。


「今回私が此処に来たのは『私の村を救う力を持つ薬草を探す為』です。故に【追跡者】のスキルに導かれるままに来ました。それは、あの薬草の山に反応したものだと思っていましたが……って、あれ? 薬草は?」


 そういえば無いな? あれ?


「あんなもん、ウーズが飲み込んでしまったぞ? 今となっては塵となって消えたのう」

「うぇえー⁉」

「あ、さっきの炎!」

「うむ。しかしどうせビッグポイズンウーズに汚染された毒消しなど使えまい」

「そ、それはそうですが……」


 ガックリと崩れ落ちるイチェリアだったが……やがて、ハッとしたように俺の手を握る。


「そうだ! 貴方、さっき言ってた【ドロップ】とかいうスキルで薬草を作れるんですよね⁉ 毒消しも!」

「作れるっていうか、薬草とか毒消し草をどうにかすると加工済のアイテムがドロップされるみたいですけど」

「むむむ……! いえ! それでも希望はあります!」


 俺の手を握る手の力を更に強くして。イチェリアは、俺を見つめてくる。


「私と一緒に来てください、薬草さん!」

「あ、レイドです」

「儂はシロナじゃの」


 そういや俺は名乗ってなかった。でも『薬草さん』はちょっと心にくるものがあるなあ。


「レイドさん、それとシロナ様。私と私の村に力を貸してください。貴方たちの力が、必要なんです」


「儂が力を貸すかはともかく。レイド、お主は好きにしたらええんじゃないかの」

「勿論貸します。俺が役に立てるっていうなら……」


 今までの人生で必要だなんて言われた事はなかった。だから……それは本当に嬉しくて。

 イチェリアは、まるで花が咲いたかのように笑う。


「ありがとうございます、レイドさん! それなら、早速ですが行きましょう!」

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