23.トーキョーへ
23.トーキョーへ
二十日後。
魔都と化したトーキョーの入口を叩く二人。
風を操る長身の魔術師ロバート。小柄な怪物王女メリー。
死なない人間として生きる、怪物に呪われし肉体。
ロバートは、家族と共に生きるために戦う。すでに娘三人がロバートと同じ歳になった。もし、娘達の死ぬ姿を見るまで長生きするというのなら、ロバートは堕神点諸共メリーにさし出してもいいと言って、メリーに付きそうことを決める。
メリーはそんなロバートの決意を汲みとって、共に連れて行くことを許したのである。メリーはロバートにこう言った。
「死ぬ必要はない。つまり、あなたが死なずに、堕神点をなくしてしまえばいい。堕神点はあなたに呪いを掛けた『デス・ウォーカー』のものではなく、『天界のハストゥール』という強大な怪物のもの。もし、ハストゥールが堕神する力を蓄え終われば、あなたはその時に死ねる。あなたが考えることは、自分の死場ではなく、自分の命で何ができるのか、ではないのかしら? あなたは、その生命は孤高だと思わない? 『天界のハストゥール』を永遠に葬った英雄として名を残すことになるかもしれないのだから……」
メリーは第一印象からは想像もつかないほど多弁だった。何も言わない怪物のような人間だと思っていたロバートにとって、それは衝撃だった。
メリーがロバートの前に顔を出したのは、『デス・ウォーカー』討伐後。堕神点を持つもの同士、惹かれ合ったのだろうか、二人の出会いはまるで運命のようだった。少なくともロバートはそう思わずには居られなかった。
家族や人間と決別しなくてはいけない。このまま死ぬのが一番良いのか――必死に悩み、結論を実行する寸前だった。その瞬間に、物理的に殺すことでは自分が死なないことを知った。
メリーとロバートはそうして出会った。
ロバートの戦う理由。それは、堕神点の消滅――と同時に『天界のハストゥール』の完全なる破壊。
メリーの戦う理由もロバートと同じ。メリーもまた、怪物に不死の印を打ち込まれた被害者。ただ、あまりに事態を達観しすぎている風があり、ロバートは戸惑いと不安が常に混在する生活をしている。
だが、目的は変わらない。
メリーは図書館を巡り、堕神点を破壊し、不死を解くこと。そして堕神点から眠りにつく邪神を葬る方法を探すこと。この二つを行っている。
ロバートは行く手を阻む怪物の掃討。本来の職業をまっとうするだけだ。
ただ、未だに二人の堕神の仕組みは分からずじまいだ。
日本にある国会図書館。ここに二人の堕神の仕組みを読み解く鍵が見つかるだろうか?
二人は意気揚々とトーキョーへと侵入を開始した。
次話から東京編になります。
引き続きお願いします。




