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乙女ゲーの世界に転生したモブが、公爵令嬢と付き合うことになった話  作者: 乙賛


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4/12

第4話 ゆっくりモブもやってられない

 そんな訳で始まった、テストイベント。イベントらしく、ちゃんと前振りが用意されていた――



「貴様、アリシアと一緒に居すぎではないか? 王太子である我の婚約者だと、知らぬわけではあるまい!」

「あら、ボイドはただの友人ですわ。わたくしの友人に、身分を盾に脅すのはよして頂けませんかしら。それに、どの口がそんなことをおっしゃっているのか。ご自分の行動を一度振り返ってみては如何かしら?」


「くっ、ボイドといったな。次のテストで勝負だ! 我が勝てば今後アリシアに近付くことは許さん!」

「じゃあ、ボイドが勝てば友人として一緒に居ても、一切文句は言わないということですわね。あとで正式な書類として作成させますわ。殿下も署名頂きますわよ」

 なんでそこで、俺とアリシアが一緒に居て良いってなるんだ? この流れなら、王太子がピンク髪に近付かないってするべきじゃないのか? そんなことをしたら、乙女ゲーが成立しないからなんだろうな……。


 何で、俺が諦めムードかって言うと、理由はこれだ。


【鑑定:リチャード・フォン・アルデリア】

 種族:人間

 年齢:15

 備考1:アルデリア王国王太子

 備考2:攻略対象メイン(フラグ未)

 備考3:テストイベントフラグ成立、対戦相手:逡ー迚ゥ縲翫ヰ繧ー縲�


 対戦相手が文字化けしてるが、文字化けしてるってことは異物バグの俺のことだろう。つまり、イベントが進行している以上、何をしても強制力には勝てないと、俺はあきらめの境地に居るというわけだ。


 正直に言えば、ここで負けてただのモブに戻るのが理想。こんな茶番なんて、傍から見ててもきついのに、巻き込まれるなんて罰ゲームとしか思えない……いや乙女ゲーか……。ただ、アリシアの俺に対する行動は、本当にシナリオ通りなんだろうか? そして、「汚染」。これが何なのか確認しておかないと、ゆっくりモブもやってられない。



「ボイド、殿下如きに負けるとは思えませんが、念のためわたくしが教えて差し上げますわ。今日の放課後から、図書室で特訓ですわ」

 アリシアはひとり、何故かやる気に満ち溢れている。どう見ても悪役令嬢じゃない、どちらかといえばヒロインムーブをかましてくるのは、「汚染」のせいなのだろうか? こういうのって、ピンク髪が王太子とふたりっきりでってのが、乙女ゲーなんじゃね?


 それに、俺みたいなモブを相手に、王太子ともあろう者が簡単に引き過ぎじゃないだろうか。もっと無礼だとか、なんなら権力を振りかざしてもよさそうなのに、アリシアとのイベントが発生したら、いつの間にか姿を消している。正直な俺の感想としては、イベントを発生させるのが目的で、その前後の絡みは単なるオマケじゃないのか? って感じだ。何というか、言い知れない気持ち悪さが残る。



「ボイドくん! 殿下とテストで戦うんだって? それなら、私と一緒にお勉強しない?」

 そこに空気を読まないことで定評のある、ピンク髪がしゃしゃり出てくる。これって、俺じゃなく王太子に言うべきセリフじゃないのか? そして、こいつが顔を見せれば当然アリシアの機嫌が底辺まで下がり切る……。


「ボイドは、わたくしと勉強しますの。貴方に出る幕はありませんわ」

 これぞ悪役令嬢というトーンで、アリシアは冷ややかな視線をピンク髪に向ける。ピンク髪は、反論することもなく、だが涙を浮かべて王太子の元に駆けて行った。


 王太子とゆかいな仲間たちは、ピンク髪を慰めながらこちらに鋭い視線を向ける。だが、王太子がそれを止め、俺に対して見下した笑みを浮かべている。モブの俺にとっては、権力者に睨まれるってのは恐怖のはずなんだが、俺にはこいつらに台詞が用意されていないために、固まっているようにしか見えなかった――





「聞いてますの? ここは、引っかけになってますのよ。この公式ではなく、こちらの式を――」

 放課後、半ば拉致されるようにアリシアに図書室へ連れ込まれる。そして窓際の人目の少ない席で、なぜか俺の真横にぴったりと席をくっつけたアリシアが、バラの香りを漂わせて、その美しい顔を俺のすぐそばまでくっつけてくる。もちろん、いやらしいものではなく、ふたりっきりの勉強会イベントだ。


 ただ問題なのは、俺が適当に勉強してもアリシアは褒めてくるし、答えがあっていてもこうやって、身体を寄せ付けるようにして指摘してくる。ふたりの親密度を上げるためのイベントなら、ある意味当然なんだが、実際にされると違和感しかない。これもイベントが目的で、その中身なんてどうでもいいと言っているようなものなのだから……。


【鑑定:アリシア・フォン・ヴェルトハイム】

 種族:人間

 年齢:15

 備考1:ヴェルトハイム家長女

 備考2:悪役令嬢、攻略対象(逡ー迚ゥ縲翫ヰ繧ー縲�)

 備考3:テストイベントフラグ成立、サポート対象:逡ー迚ゥ縲翫ヰ繧ー縲�


 そう、これだ。鑑定内容が更新されているのだ。どう見ても俺が、モブではなくメインキャラと関わるキャラに格上げされている。そのうえ悪役令嬢の攻略対象って……乙女ゲーの根本からひっくり返らないか? ってか、俺ってアリシアに攻略されてるってことなのか?


【鑑定:ボイド・シュレディンガー】

 種族:人間

 年齢:15

 備考1:サブキャラ(フラグ成立済み)

 備考2:異物バグ

 備考3:汚染度5%


 さらに、これだ。そう、俺はモブを脱出して、サブキャラになったらしい。しかも「汚染」が進行していると来たもんだ……。この状況を見る限り、「汚染」ってのはシナリオの崩壊度か、キャラの相関関係の崩壊度なのかもしれない。いや、もっとヤバいものの可能性もありそうだが、もうこれ以上考えたくない……。

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