第四話 アベンジャー基地制圧戦(後編)
――6月13日深夜・アベンジャー基地敷地内――
「ったく……ヘリがいるなんて聞いてねぇぞ。偵察隊の奴らは何やってんだか」
建物の陰でリロードしながら俺はそんなことを言った。
空の弾倉を捨て、胸ポケットにある弾倉を、突撃銃に装填する。
この弾倉を込める動作をリロードと言う。
『アハハ、それだけ厄介な相手だったって事でしょ? 偵察隊を責めても仕方ないよ』
この明るい声は村山だな。
相変わらずポジティブな女だ。
『その通りです。まずはどうにかして対処しましょう。頭上を抑えられては厄介ですからねぇ~』
この緊張感の無い声は第三分隊の渡伍長。
いつでもニコニコしてい変態で、人をからかうのが大好きな石田軍曹の親友だ。
――ッ!
そうこうしてるうちに敵だッ!
「接敵ッ!! 奥の建物だッ!」
俺は分隊系回線で叫びつつ建物に隠れながら突撃銃を撃つ。
『くそっ、この期に及んで数が多いわねッ!』
隣にいる春奈が愚痴をこぼす。
『やばッ! あいつ無反動砲持ってるぞッ!!』
勇希が敵の1人を見て叫ぶ。
ホントだやべぇ、狙ってる!
『退けッ! 上のタンクが狙いだッ!!』
石田軍曹が叫ぶ。
俺達が盾にしていた建物の頭上にあるのは水タンク。
だがアベンジャー共は、それを燃料タンクとして使っていたという情報が入ってきている。
中身は……可燃性の液体燃料だ!!
俺達は即座にその場を離れる。
同時に、無反動砲から放たれた砲弾は、タンクの基部に命中し、タンクはそのまま俺達のいた方向に落下した。
瞬間、落下の衝撃で散った火花が引火し、爆炎が巻きあがった。
破片が飛び散り、炎の熱で顔が焼けそうになる。
『第四分隊、大丈夫ですか!?』
渡伍長の声がする。
『こちら第四。被害無し……危なかったぜ』
言ってる合間に、敵兵が攻めてきた。
煙と炎で視界が悪いのを良い事にかなり近くまで迫って来ていた。
俺達はタンクが乗っていた建物や、タンクの瓦礫に身を隠しすぐに応戦する。
『まったく、一息付く暇もないわねもう!』
春奈が愚痴をこぼす。
「当たり前だ。ここは戦場だぞ。休みたかったら銃創でも作って医務室のベッドで寝るんだな!」
俺は春奈に嫌味を言いつつ、瓦礫から飛び出し、突撃銃を敵に浴びせる。
ひとつ前の瓦礫を目指しながら走り、二人倒した後瓦礫に滑り込む。
『お断りよあんな薬臭い所! この戦いが終わってからゆっくり休むわ!』
「じゃあとっとと終わらせようぜッ!」
言った瞬間、無反動砲の兵士が勇希を狙っている事に気付く。
「勇希避けろッ! 無反動砲だッ!!」
『えっ……うわぁぁぁぁッ!!』
咄嗟に飛び込みからのローリングをする。
砲弾は地面に大穴をあけるも勇希には当たらなかった。
「無事か勇希ッ!」
『……なんとか……』
ちッ、まずはあの砲をなんとかしないと……。
……そうだ、いい事思いついた。
「春奈勇希ッ、あの無反動砲を奪って接近中のヘリを落とす! 援護しろッ!!」
『えぇ!? そんな無茶な!』
『了解! さっすが和真ッ!!』
驚く春奈と、喜ぶ勇希。
そんな2人を見つつ、俺は突撃銃を構え吶喊してゆく。
俺はすぐに無反動砲を持った兵を倒す。
「ぐぁぁ!!」
敵兵が倒れ、無反動砲を手放す。
が、そのそばに5人程、敵兵がやってきて迎撃してきた。
俺は咄嗟に前転で物陰に逃げ込む。
『任せて! 早く!』
勇希は突撃銃を、
『頼んだわよ!』
春奈は榴弾砲を抱え、二人は言った。
『食らえッ!!』
春奈は榴弾砲を何発か発射、無反動砲を破壊しないよう、牽制程度にばらまく。
そこで勇希が突撃銃の連射で敵をしとめる。
『クリア! 和真行って!!』
「了解!!」
俺は弾の無くなった突撃銃を放り投げ、背中に装備していた散弾銃を持ち、走り出す。
「おいあっちだッ! 撃てぇぇぇ!!」
別方向の敵に発見される。
だがもう遅いッ!
「うおおぉぉッ!!」
敵が狙って撃つより早く俺は移動し、散弾銃で敵を片づける。
よし後は――
「死ねぇぇぇ!」
――後ろからッ!?
俺はその敵兵の声に一瞬気付くのが遅れた。
距離は目の前、手には軍用ナイフ!
だが次の瞬間、その敵は頭を撃ち抜かれた。
『黒崎先輩! 無事ですか?』
涼の狙撃だった。
「ああ、助かったぜ。サンキュな」
と軽く礼を言うと、ちょうど標的がおいでなすった。
『敵ヘリ来ます!!』
誰かが叫んだ。
『物陰に隠れろ!!』
石田軍曹が指示する。
すると、前方からローターが空を切る音がうるさいくらい響き、戦闘ヘリが姿を現した。
ヘリは、機体の先端に付いているガトリング砲を回転し、無数の弾丸を地上に浴びせる。
しかしその時既に、俺は敵兵が落とした無反動砲を手にしていた。
俺は、ヘリの後方に回り込み、標準を合わる。
「あばよ、老兵バンディード」
俺は既にウクライナ正規軍を退役したこのヘリの名を呟き、引き金を引いた。
軽い反動が体に走り、煙を上げて、ロケット弾は目標であるヘリに直撃した。
ヘリはバランスを崩し、基地の建物に激突。
小規模な爆発を何回か起こし、やがて真っ黒い煙がその建物の上部を覆った。
これで脅威は去ったな。
そのまま敵を押し倒し、この戦いはWAPとウクライナ軍の勝利となった。




