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箱庭のテラフォーミング 〜全てが監視されていたなんて〜  作者: 大神みや
枯れ野のルタ村編

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10/26

幕間(第1章エピローグ) 監視者のため息

ルタ村から旅立ち、南へと向かう道中。

カイが野営のテントで深い眠りについたのを確認し、レイラは音を立てずに外へ出た。


満天の星空の下、彼女は自分の耳の裏にあるごく小さな『通信パッチ』に触れた。


『――こちらレイラ。対象マスター・カイ、ルタ村を離れ、予定通り南のルートへ進行中』


『ご苦労様、レイラ調査員エージェント。シーズン1の視聴率は歴代最高よ。上客のシニア層たちは、彼の泥臭い緑化作業にすっかり夢中になっているわ』


脳内に直接響く、オペレーターの無機質な声。

『引き続き、対象のバイタル管理と、視聴者からの「支援物資」の自然な投下誘導を頼むわ』

『……了解しました、イザベル』

『何か不満でも?』

『いいえ。ただ……』


レイラは、静かに眠るカイのテントを振り返った。

過酷な労働に文句一つ言わず、ただひたむきに土と向き合い、村人たちを笑顔にした彼の真っ直ぐな横顔が脳裏に浮かぶ。


『彼は、私たちが用意した安易なアイテムなんて、本当は少しも望んでいないわ。……対象は、極めて誠実で、優秀な技術者よ。彼をこれ以上、見世物にするのは……』


『レイラ。個人的な感情移入はエージェントの規約違反よ。忘れないで。彼が探している「カオル」という女性も、番組を盛り上げるための最高のスパイスなんだから』


通信が一方的に切れる。

レイラは小さくため息をつき、冷たい夜風の中で自身の腕を抱きしめた。


「ごめんなさい、カイ……」


彼が真剣に探している人が見つかってほしい。

でも、彼がすべてを知った時、自分に向けられるであろう軽蔑の目を想像すると、胸が張り裂けそうだった。

騙し続けている罪悪感と、彼と共に土にまみれた一年間の確かな喜びに板挟みになりながら、偽りの村娘は夜の闇にただ一人立ち尽くしていた。


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