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2-5. 静かな森
森の中を更に奥へと彷徨い行く。
職業柄、痕跡を探すことには自信があるのだが、未だに噂の野犬の足跡ひとつ見付からない。
久しぶりの森の中。ついでに夕飯の食材も調達する予定だったのが、野犬どころか猪の一頭も見付けられない現状に、頭を抱えたくなる。
ふと、ここである疑問が頭を過ぎる。
ここまで森の中を進んで、未だに動物の影すら拝まないとはどういう事だろう。
考えてみれば、森が静かすぎる。
私が周囲の気配を探るのに集中した刹那、背後の影が揺らめいた。
***
俺は森の中を駆ける。
あいつが森に入った目撃情報を聞いてから、すぐに飛び出した。
奴らとあいつを会わすわけにはいかない。
本土から要請した銀装騎士団も二、三日で到着するはずだ。
だから、遭遇する前に早く見つけ出さなければ。
あいつが全てを知ってしまう前に。




