42話 王都
盗賊の襲撃を撃退した俺は、ストレージを見ながら唸っていた。
「これはどういうことだろう―。」
そう。
盗賊が死ぬ瞬間――、奴らの体が光となって消えたのだ。
信じられないかもしれないが・・・、本当のことだ。
そして。
ストレージの中には、彼らのものと思われる装備とアイテムが。
当然、その中にギルドカードも入っている。
これって奴らのストレージの中身が、俺のに移ったということだよな。
死んだ時にその中身が、
辺りに散らばるなんてことはなかった。
うん―。
この世界って死ぬと、その死体は残らないのか?
―いや。アーレの村に小さいが墓地はあったぞ。
だからと言ってそれが否定されるわけではないが。
それに魔物じゃあるまいし――。
俺はその事実にひどく衝撃を受け―。
戦闘後にしばらく呆然としてしまった。
怖いというより、ひどく残酷だと思ったのだ。
盗賊とはいえ、人を殺したことは。
それに比べると余り感じるものはなかった。
まあ。
命を狙われたし、6対1での戦いに必死だったのだ―。
力の差は明白で。
俺の方が圧倒的に強い。
しかし、まともな相手で一度に複数と戦ったのは、これが初めてだった。
―うん。
ちょっとだけ、怖かったデス・・・。
魔物とは散々戦ってきた。
常に命のやり取りをする中で、俺の感覚は麻痺してしまったのだろうな――。
どちらかといえば、変わってしまった自分へのショックだろうか。
魔物と人は違う。
そう―、
俺も思っていた。この世界にくるまでは。
確かに違うという感覚は今でもある。
しかし。
自分の命を奪おうとする存在。
そして、死んでしまえば同じ様に死体になる――、いや光か。
それらにどんな違いがあるのだろうか。
俺には――分からない。
――。
なんにせよ、他人から奪う存在である盗賊は百害あって一利なしだ。
俺は自分の身を守ったのだ。
そして、正しいことをしたのだ――。
☆ ☆ ☆
それから5日が経ち、もうすぐ昼かと思う頃――。
ようやく王都が見えてきた。
今回の旅は、町までの旅に比べると休憩したりすることは少なかった。
慣れたのかもしれないな。
そして盗賊襲撃もあったが、全体のペースとしては早い方だったのではないか。
かかった日数は――、7日か。
予定通りだな。
まあ。あと1時間くらいはかかるだろうが。
しかし、これが王都か――。
小高い丘から、それを見下ろすと。
壁に囲まれた中に密集する、多くの家や建物が。
そして中央やや北側に立派な城がある。
家々からは煙が上がり。
何かが動いていることも感じられ――。
その生活の営みと、この発展を支える活力を感じさせる。
「すごいな―。」
ちょっと感動してしまった!
21世紀の日本で生きていた俺が心打たれるのだから、大したものだ。
しかも。
これで小国だっていうのだから驚きだ。
そう。
エスタのギルドで聞いたところによると――。
この国は大陸中央に位置する小国。
その名もベリアバール王国というのだ。
周辺には、大体似たような規模の国々が隣り合っており。
それらで中央国家連合を形成している。
そしてこの――、王都ハイラル。
俺がこれから足を踏み入れようといている都市の名だ。
「さて。眺めていても仕方ない。」
いくか―。
俺は王都に向かって歩き出したのだった。
☆ ☆ ☆
その後、王都に到着した俺はギルドに向かって歩いていた。
都市に入るのは特に問題はなく。
ただ、今までと違った点は門番が兵士だったことだろうか―。
エスタの町にいた門番は自警団みたいなものだろう。
その見た目はギルドメンバーに近いものだ。
さらに人数も町と比べて多く、5,6人はいて。
手早くどんどんと列を捌いていたので、ほとんど待つことはなかった。
さてと。
ギルドはこっちだって言ってたな―。
門から続くこの大通りを進み、王都の中央からやや南にあるとのこと。
建物も大きいらしいな。
しかし、この行き交う人の多さ。
密集する家や何かの店。
うん。
これは、ちょっと王都を舐めてたかな・・・。
町があんなものだったしね。
つい、物珍しくきょろきょろしてしまう。
俺はお上りさんか―。
まあ。村から来たし、設定は山奥の田舎出身だし。
この看板は――。
杖が一本、斜めに絵書かれたエンブレムだ。
これは初めて見たな。
ちらりと横目で窓を覗くと。
どうやら魔法関係の専門店らしい。
後で行ってみるか。
その後もいくつかのお店を物珍しく眺めながら、
俺は総合ギルドに向かって歩いていった。




