41話 王都への道
朝になった。
今日は王都に出発する日だ。
いつもと同じ様に、早く目が覚めた俺は――。
いつもとは違う午前中を、のんびりと過ごし。
少し早めの昼食をとって、出発前にやることを済ませるべく町へと出かけた。
さて。
ギルドにやってきたわけだが―。
ここでは依頼達成の報告と素材売却、そして拠点変更届けを出す。
ま、ほとんどいつものと変わらないな。
「こんにちは。」
下級の窓口に向かい、職員に声をかける。
ギルドカードを渡してっと。
報告と売却――。
ふむ。
受け取った金額は―、48,580ゴル。
そして預金分の20%は、別途12,145ゴルだな。
うん。これで大分、懐は暖かくなったか。
あとは変更届けを出して終わりだな――、そう思っていると。
「今回の依頼達成でギルドランクが7に上がりました。」
おめでとう御座います――、と職員さん。
おおう。とうとう7級か!
これで俺も下級クラスの上位となったわけだが――。
正直、あまり感動はないな・・・。
なんだか、あっという間だった。
というかまだ2つしか迷宮に行ってませんが。
少し早すぎないか――、そう聞いてみた所。
なんでも、ボスも全てソロで狩っていることを評価されたらしい。
うん。
パーティは組んでないな・・・。
しかし、そういう情報ってギルドはしっかり把握してるのね。
さらに、達成した依頼数も申し分ないと言われた。
こっちはSPの関係で、狂ったように狩ってたしな・・・。
まあ。
貰えるものならいいかと素直にお礼を伝え――。
変更届けを済ませると、俺はギルドを後にした。
さて。あとやることは防具の新調だ。
これについては王都に行ってからでもいいが―。
道中、何があるか分からないので念には念を入れておこう。
ということで、やってきました防具屋。
一通り商品を見てみたが、特に目新しいものはないな――。
それなら。
鉄製の装備はそのままで、
ボロボロになった皮製のものだけ買い換えよう。
全部で―。
皮製の盾、足装備一式、篭手を購入。
ボロボロになった、それらを売却。
俺が防具屋の店主に支払った金額は、その差額1928ゴルだった。
こうして見ると、装備って思ったより安いよな。
きっと一つ一つ手作りのはずなのに・・・。
何か理由があるのか。
まあ、気にしたら負けかもしれない。
――。
さて、これでやることは全て済ませたな。
「早速だが、出発しよう。」
王都の場所は―
エスタの町から東に歩いて7日か。
「ーふう。」
のんびり行こうかね。
☆ ☆ ☆
平和なものだ。
見える限りどこまでも続く地面は、一面に緑のグラデーションが広がり。
空は高く、綺麗な青空が広がっている。
暑すぎず、いい陽気で。
その辺りに横になって、のんびりとしたい所だな。
そんな中を1人てくてくと歩いていく。
――。
今日は町を出発してから2日が経った。
日数から考えると、やや町に近い中間に差し掛かった頃――。
ん―。
「なんだ。」
念のため使用していた索敵スキルに人の反応が。
俺の進む方向にいるな――。
それも――、6人か。
うん。
普通にこっちへ歩いてくるわけでもなく。
固まって待機しているようだ。
えーっと。
この位置だと―。
丁度、あの岩陰になるだろうか。
俺はさり気なくそっちの方へ目をやると、そこには道脇に大きな岩があった。
「これは何をしてるのだろう。――もしかして、盗賊か。」
どうする。
ただのパーティという可能性もある。
が、しかし念には念をいれておくか―。
よし。
俺は装備を身につけ、剣を取り出すと。
シャープネスをかけ。
岩場の方からは見えないよう、剣を自分の体に隠して持つ。
さらに。
魔力を込めたファイアーボールの準備をして、何食わぬ顔で近づいていった。
もし相手が、武器を構えていたら容赦なく魔法をぶち込む。
間違っていたら、それは仕方ない。
その時はそのとき――だ。
普通のパーティだと確認できればいいのだが。
俺が岩に近づいていくと、僅かに6人が動き出したのを感じた。
そして15mを切ったところで―。
「よお。兄ちゃん。景気はどうだ?」
ニヤついた細身の男が、岩陰から偶然を装って出てくる。
・・・。
――いかにも俺、盗賊ですって奴が出てきたな。
身なりは汚く、その目はギラつき怪しい輝きを放っている。
コイツ、普通に話しかけてるつもりだろうが。
すごく怪しいぞ・・・。
武器は――、持ってないか。
だが。
チラリと後ろに控えた男が見えると、そいつは弓を構えていた。
――!
「ファイアーボール!」
即座に俺は、弓持ちに狙いをつけ火球を放つ。
そして―。
間髪入れず、目の前の男に斬りかかり――。
その首を落とした。
「ぎゃあああ!」
「気をつけろ!こいつ魔法使いだ!!」
後ろは―。
俺の火球で2人が重症、2人が軽症、もう1人は――無傷か。
その無傷の男が剣を振りかぶり、向かってくる。
「オラ、しねええええぇ!」
「ぐっ。」
急いで再び魔力を込めると。
俺もその男に向かって斬りかかり――。
2撃目で、男の剣を弾き飛ばす。
さらにその男の横腹を蹴り飛ばした。
「ファイアーボール!」
逃げようとしていた軽症男2人の背中目掛けて、魔法を打ち込む。
そして―。
すかさず、蹴られて蹲ってる男に剣を振り下ろした。
「ひいぃぃ!あ、ああ・・・ぎゃああああ!」
「や・・・、やめ――。」
汚い悲鳴を上げながら男達は火達磨になり、
目の前では、男が何かを懇願しながらその首を刎ねられた。
――。
逃げたり、命乞いするなら最初から襲うなよ・・・。
「うぅ・・・。」
そんな怯えた目をしてもだめだ。
「お前たち。今回が初めてじゃないだろう。」
最初話しかけてきた奴や他を見ても、随分やり方が手馴れていた。
おそらくだが、
初めての強盗ではないだろう。
「はあはあ・・・。あぁ・・・たすけ―。」
なにより俺を襲おうとしたんだ。
当然、やり返す権利が俺にはあるし――。
人から物を奪って、それを良しとする奴らを許すつもりはない。
理不尽な刃を向けられた怒りと共に、俺は心を鬼にして。
重症を負った2人に近づき――。
その首を切り飛ばしたのだった。




