37話 草原の主
朝になった。
今日は草原迷宮のボスに挑む日だ。
俺は手早く準備を終えると、いつもより多めに休憩をとって出発する。
町から迷宮へ―。
そして第一エリアから魔物を無視して真っ直ぐ進み――第二エリアも抜ける。
「いよいよか―。」
第三エリアの前に着いた俺は、
周囲に魔物や人の影がないことを確認すると、職業を魔法使いに変更した。
更に武器も杖に変更する。
よし―。
―シャープネス!
―アーマー!
2つの魔法をかけると、急いで職業を剣士に戻して。
武器も剣に変更する。
「慎重に進んでいこう―。」
隠密と索敵スキルをかけた俺は、注意深く第三エリアへと入っていった。
『エスタ北の草原 第三エリア』
位置を示すウィンドウが変わったな。
それに、草原の空気もピリピリとしたものへ変化する。
さて。
どこにいるのかね――。
俺はスキルの地図を頼りに、ゆっくりと進んでいく。
20分以上経っただろうか。
時計ウィンドウを細かくチェックしていたので、合ってるはずだ。
そして、地図を見ると
もうすぐ第三エリアの中心に到着することが分かる。
「そろそろシャープネスとアーマーをかけ直さないといけないか。」
検証したときには杖装備の魔法使いで25分ほど、その効果が続いていた。
おそらく―。
効果時間は俺の知力や魔法の威力とやらに依存するのだろう。
今は知力の指輪の分も増えているし、
もう少し時間が延びるはずだが―。
一応、念の為だ。
そんなことを考えていると――。
――見つけました。
アーレの村周辺の森にあったボス出現ポイント。
それと似たような広場を。
周囲に草が生えているのに、そこだけ広く円形に土が剥き出しになっている。
うん。
ここに来るまで第三エリアは平和なものだった。
やはりボスの出現するエリアには、他の魔物が出ないらしい。
「ふう。いよいよか。」
俺は覚悟を決めると、ボスと戦うべく戦闘準備を始めるのだった。
☆ ☆ ☆
まずは。
再び、俺は魔法使いになると補助魔法をかけ直す。
そして杖をストレージに戻すと―。
剣を装備状態に変更して取り出し、各種装備をチェックする。
よし。大丈夫だ、いこう―。
一つ気合を入れると、そのポイントへゆっくり進んでいく―。
合わせて、ファイアーボールの魔力も貯めておく。
――。
周囲に魔物や人はいないな。
このまま進んでいけば。
登場の仕方が森と同じであるのなら――。
残り5mとなった所で、黒い光の粒が集まりだした。
――!
ボスが出現する兆候だ。
俺は急いで距離を取る。
やがて光は大型の魔物の姿へと変わっていき――。
その姿がはっきりとしたところで。
いまだ!!
先手必勝―。
俺はすかさずボスへ向け――。
―ファイアーボール!
現れたばかりのボスに、魔力を込めた火球が襲い掛かる。
そして―。
すぐに俺はストレージから取り出した緑ポーションを1つ飲みほす。
「ク”キ”ャア”ア”アァァァーー!!」
ゆっくりと煙が晴れていくと、表面が少し焼けたボスが姿を現す――。
これは―、鳥だろうか。
ちょっと・・・、でかくないですかね・・・。
鳥と恐竜を合わせたような――、怪鳥とでも言うべきか。
うん。
その背に俺を乗せて飛べそうだもの。
そして―。
俺の不意打ちのせいだろうか。かなりお怒りのご様子。
すると、その大きな翼を羽ばたかせ空に飛び上がり―。
勢いよく、俺に突っ込んでくる。
――!
俺は様子を見るべく、横に転がりながらそれを避ける。
すると怪鳥は旋回して―。
再び、こっちに向かって飛んでくるではないか!
軌道はほぼ直線。
空を滑るように飛んでくる。
当たれば大ダメージだろうが、避けやすい――か。
俺は余裕を持って、再度その突撃をかわす。
しかし―。
ほとんど地面に降りないな。
すれ違いも、ほぼ一瞬だ。
剣じゃ厳しいか――。
そう判断した俺は、素早く職業を魔法使いに変えて。
装備ウィンドウを開き、今持っている剣を変更――。
赤い宝石の杖と皮製の盾を取り出す。
俊敏さは失われたが、避けられない程じゃない。
そう見極めると、避けながらも魔力を込めるべく集中する。
ボスの怪鳥は俺の変化に気づいてないようで。
再び、同じように突っ込んでくる――。
―ここだ
「――ファイアーボール!!」
さっきとは大きさの違う、高威力の火球が怪鳥に向かって飛んでいく。
すると――、勢いよく2つはぶつかり合い。
やがて火球が押し返す。
鳥はダメージを負ったのかゆっくり地面に降りてきた。
勝機を悟った俺は
さらに追撃すべく、3連発で普通の火球を打ち込んだ。
――。
―もっといけるか。
動きが鈍くなっていく鳥を見て、
残り全ての魔力を火球に変えて連射していく。
すると―。
「なんだ―。」
おかしい。なにか―。
「くっ。はあ・・・う・・・。」
息苦しい。空気が・・・、空気が薄いのか――。
何かの変化を感じた俺は周囲に目を向け。
そして。
あ―。
ボスに目をやると、その全身が薄い緑色の光に覆われていた。
刹那。
辺り一面に強風が吹き荒れる。
あまりに強い風に、目を腕で守り――。
飛ばされないようにその場に踏ん張る。
これは―、ボスの方に周囲の風が集まっているのか。
――。
マズイ!
こいつもやはり奥の手を持っていたか――。
ボス特有の自爆技だ。
間に合え――!
俺は杖をストレージにしまうと、急いで職業を剣士に戻す。
そしてその場を離れようとするが―。
息苦しく、強風も吹いていて。体が思うように動かない。
――ボスの体が急激に力強く発光して
やべえ・・・!
仕方ない。
俺はその場に小さくなり盾を体の前面に構えると――。
ボスを中心に大爆発が起こった――。
【主人公34話終了時の火球威力】
<火球の威力>
<大> 《魔法使い》杖あり(強)
↑ 《魔法使い》杖なし(強)
《剣士》 杖あり(強)
<威力>《剣士》 杖なし(強)、《魔法使い》杖あり
《魔法使い》杖なし
↓ 《剣士》 杖あり
<小> 《剣士》 杖なし
※《》は職。(強)は魔力を込めた火球。
僧侶は未検証。




