28話 エスタ北の草原
朝になった。
今日は町の北にある迷宮へ出かける日だ。
―よし。
一つ気合を入れると、顔を洗って朝食にする。
―ふう。
食べ終わった俺は休憩しつつ、取得可能スキルを眺めていた。
新しい狩場に行くしな。
何か、スキルを取るべきだろうか―。
現在のSPは―、5だな。
≪取得可能スキル≫
生活魔法(1) 簡易作業(1) 視力強化(2) 料理(2) 鍛冶(2) 精力増強(2)
地魔法(3) 光魔法(3) 消音(3) 消臭(3) 魔法の理(2)
5SP
ふむ。
取るとしたら、地魔法か光魔法だろうか。
あとは―、魔法の理。
あれ。こんなスキルあったか。
前回、索敵を取ったときには――どうだったか。
よく見なかった気もする。
直感を取ったときには、間違いなくなかった。
後から追加されたものだろうか。
ポイントが2だし、一番最後に表示されている。
何らかの条件を満たしたのかもしれないな。
俺に新たな適正がついたとも考えられる。
しかし。
これまで取得できるスキルが開放されてきたのは―。
SPを1、2、3と、それぞれ貯めたときだ。
今のポイントは5。
この流れからすると、そろそろ追加されてもいいはずだ。
あと1か2ポイント貯めれば新たなスキルが開放されるかもしれない。
今、取得するかどうか悩ましいな―。
しばらく悩んだ俺は、今回の取得を見送ることにした。
現状、どうしても新たなスキルが必要というわけではない。
それなら、SPを貯めて、より強いスキルを取得するべきだろう。
あとは迷宮の様子を見てからだな―。
そんな今後のスキル取得計画を立てると、出かけるべく準備をする。
さて。
それじゃ出かけようか―。
周囲の景色は、町の物陰へと変わっていった。
☆ ☆ ☆
町に戻った俺は、北の草原を目指して一人歩いていた。
歩いて30分だったか―。
まだ早い時間なのか他に人の姿はない。
それにしても天気がいい。
風も僅かに吹いている。
日本では春頃だろうか。
過ごしやすい陽気だ。
こちらの世界に四季があるかはわからないが―。
しばらく歩いていくと、看板らしきものが。
『この先、迷宮エリア エスタ北の草原』
ここだな。
―っと。その前に。
迷宮手前の草むらに、ごろりと横になる。
すごく気持ちがいい―。
歩いていて、無性にこうしたかったのだ。
念の為、スキルの索敵と隠密をかけてっと。
目をつぶり全身で心地よさを感じる。
―ふう。
こうしていると、ふと考えが頭によぎる。
そういえば、こっちの世界にきてから休日を取ってないな。
特に取りたいとも思わないが―。
どこか俺は心に余裕をなくしてないだろうか。
こっちに来てから、ずっと一人だったので意識しなかったのかもしれない。
適応するのに精一杯だったともいえる。
この陽気を感じて、日本を意識したのかもな―。
―やれやれ。
狩りにきて何を考えてるんだか。
ふと、索敵に何かが引っかかる―。
これは魔物ではないな。
どうやらギルドのパーティのようだ。
ここは下級向けの狩場。
くるのは駆け出しが多いはず。
何かトラブルがあっても対処はできそうだが―
あまり関わり合いになるのは得策じゃないか。
俺はなにくわぬ顔で起き上がると、迷宮へと入っていった―。
☆ ☆ ☆
迷宮の中には、一面の草原が広がっていた。
障害物らしい物はほとんどなく、視界にはまばらに魔物の影が。
位置を示すウィンドウも合わせて変化した。
ふむ。
まずは、他のギルドメンバーの近くで狩るのはやめた方がいいな。
索敵で魔物と人間を確認しながら進んでいく。
十分離れたところで、魔物に近づき姿を確認する。
このエリアの魔物は――、これはトカゲかな。
そんな見た目をしている。
大きさは人間の子供くらい。
普通に二足歩行をしているが―。
大蜥蜴でいいか。
俺は隠密をかけ直すと、後方からゆっくりと近づく。
まずは、魔法を使わず剣で相手をする。
シャープネスもなしだ。
15mほどまで近づいても気づく様子がない―。
隠密のせいだろうか。
俺は、そのまま近づくと剣で大蜥蜴の首を一閃した。
こんなものか―。
全く手ごたえを感じない。
これだと、耳馬より弱いのではないか。
まあ。体も大きくないしな―。
その後、10匹ほど狩ったところでSPを獲得する。
大兎と同じだな―。
これなら奥に行っても問題なさそうだ。
とりあえず午前中はここで狩りをして、午後から奥に行ってみよう。
そう決めると、俺は再び大蜥蜴に襲い掛かるのだった―。
【28話終了時主人公の装備】
武器:鉄製の剣(稀少)
体 :チェインメイル
頭 :鉄製の兜
腕 :皮製の篭手
足 :皮製の足装備一式
指 :筋力の指輪<アクセサリー>




