22話 エリック-2 《間話》
☆11話 エリック-1の続きです。
前回までのあらすじ:
あるところに、才能には恵まれなかったが、リア充な少年がいた。
それから3年が経った。
僕は16歳になっていた。
両親が亡くなってから、もう5年になる。
あれからも代わり映えしない日が続き、Lvはやっと9に上がったところだ。
正直、かなり伸び悩んでいる。
やっぱりハムラビィしか狩れないのが問題だよな―。
僕の職業は冒険者だ。
ギルド最弱。不遇職。職なし―
心無い人はそんなことを言ったりもする。
あいにくこの村では、僕にそんなことを言う人はほとんどいなかった。
たまに他所からやってきたギルドメンバーくらいか。
それでもパーティが組めればドロップ率上昇で貢献できる。
もちろん、他にやれることは何でもやるつもりだ―。
だが、この村には、そもそもギルドメンバーが少ない。
いても既に冒険者を抱えているパーティばかりだ。
そこで、他所からやってきた人達に自分を売り込んでみたりもした。
だが結果は――芳しいものではなかった。
そもそもパーティに入りたい冒険者が圧倒的に多いのだ。
そしてパーティに必要な冒険者は1人だけ―。
それは大体、身内で埋まってしまうのが常だった。
あるいは女性も人気があったりする。
あとは――死んでしまった冒険者の枠が空き、募集があるくらいか。
どうしたらいい―。
村を離れて、大きな町、あるいは王都にいくべきか。
ここ1年くらい考えていたことだ。
だが、それで入れてくれるパーティがなかったら。
それにこの家も、この畑も、ほったらかしにはできない。
実は2回ほど、町にいく機会があり、ギルドに行ってみたりもした。
その結果は、お察しの通りだ―。
☆ ☆ ☆
そんなことを考えていたある日―。
村にやってきた商人が面白いことを教えてくれた。
なんでも、王都で騎士団の募集があるらしい。
――これだ。
僕は直感的にそう感じた。
幸いなことに、今から王都に向かっても入団試験の期限には間に合うようだ。
この5年、何かが変わると思って、鍛錬に励んできた。
だが、その実感は未だ得られていない。
特に最近は――かなり伸び悩んでいる。
冒険者を続けていると、稀に他の職業適性がつくらしい。
極めて低い確率だと言われている。
それでも、多くの冒険者達は、そんな淡い期待に縋るのだった。
もちろん、僕もその1人だ。
ちょくちょくギルドへ確認に行ってはいた。
だが今に至るまで、僕に適性がつくことはなかった。
諦めるつもりはない。
この5年は長かったが、それでもまだ5年だ。
そして、そんな今の僕が騎士団に入れる可能性は限りなくゼロに近い。
だけど、やってみたい―。
もし入団できればパーティが組める。
変われるかもしれない――。
それから2日間、じっくりと考え、また情報を集めた。
王都や騎士団、入団試験について知ってる人に聞いて回ったのだ。
そして―、僕は行くことを決断した。
僕は真っ先にミリィとルーネに伝えた。
その時は――それはもう大変だった。
ミリィはとにかく怒った。
顔を真っ赤にして、こんなに怒った彼女は始めて見たかもしれない。
ルーネには泣かれてしまった。
僕はじっくりと説得を試みて、また自分の胸の内をゆっくりと語った。
僕は強くなりたい。
ミリィやルーネ、そしてこの村の人達を守りたいんだ。
僕はもう失いたくない―。
不幸は突然に訪れる。
それがいつ村に訪れないとも限らない。
両親が死んだとき、あまりに突然だった。
そして僕はあまりに無力だった。
それを変えるため、今までやれることはやってきた――つもりだ。
ギルドの門を叩いてからは、自分に職業適正がないことを知り、さらに努力してきた。
それでも強くなれた実感はなかった。
むしろ、自分の立場を再確認させられたかもしれない―。
懸命に説得を続けると、渋々彼女たちは頷いてくれた。
納得はしてないだろうな―。
2人とも目が真っ赤だ。
本当に、すまない。
そんな気持ちでいっぱいだった。
「試験、落ちたらすぐに帰ってくるのよ!」
「わかってるよ。」
ミリィは真剣な顔でそう言った。
ルーネはぶつぶつと、落ちろ落ちろと呟いてる。
やめて。
☆ ☆ ☆
翌日、僕は家を出ると―
何人か見送りに来てくれた。
ちょっと、胸にくるものがある――。
その中にはミリィやルーネ、ミリィの両親の姿があった。
おばさんは、頑張るのよ、なんて言っている。
おじさんは――あれ。もしかして泣いてる。
何かに感極まったらしい。
「それじゃ、いってきます―。」
僕は挨拶をそこそこに、このルエレの村を出発したのだった。
【人物紹介①】
エリック:ルエレの村に住む若者。男。16歳。冒険者Lv9。
間話1に続き、再び登場。詳しくは11話。
ミリィ :エリックの幼馴染。女。16歳。
ルーネ :村長の孫娘。女。11歳。




