第5話 イータ、疑われる
「おい、新人。依頼料もらっていい気分だな。先輩に奢ってくれよ~」
生き方がわからなくてチンピラになったんですか、極端だな。
「先輩、いつから『チンピラ』になったんですか?基本、後輩の方が貧乏なんですけど。先輩の方がお金持ちだと思いますけど」
ギルドの中には酒場というものがあった。
「俺はよォ、田舎の神殿で『戦士』って言われてからというもの死に物狂いで鍛えてきたんだよ。わかるかぁ?若造ぉ」
ヤバい、絡み酒だ。
「それなのに、さっきいきなり俺のスキルが消えて…この先、俺はどうやって生きていけばいいんだよォ」
絡み酒で泣き上戸。捕まってしまった。
「あの、先輩。自分眠くなったので、宿の方に戻っていいですか?」
「全く、酒も飲めない。若そうだからなぁ。仕方ねぇなぁ」
解放された…。そんなことを俺に訴えられてもなぁ。俺なんか幸せ人生がスキルが発表されただけで村八分って感じだったけど、それよりマシじゃないかと思う。第2の人生を発掘してくれればなあ。居酒屋のマスターとか?
俺は頑張った…。来る日も来る日も採取。採取の日々…。頑張りまくってランクアップという話だ。
「これからはちょっと難しい依頼も受けられるよ」
と、受付のねーちゃんは言う。いや、すでにソロでガンガンやってるんだけどね。
依頼が貼られている掲示板を見る。
うーん、どういうのがいいのかなぁ?ランクCでソロでもできるって書いてある依頼かな?これにしよう。採取なのは同じだけど量が多い。そして、場所が何故?崖の先端?
決めたので、受付に持って行って、依頼を受けたよーっていうのを証明してもらった。依頼書ももらう。行く途中で自分が何を採取するのか忘れたら本末転倒だしね。
今回、あとをつけられている。なんで?俺、なんか怪しかったかなぁ?俺は何もない感じでテクテクと進んだ。
「おい、イータは白じゃねー?あとつける意味があるのか?とか俺は思う」
思ってくれ。
本当に崖の先端に目的の草が大量に生えている…。危ないなぁ。ワザとだけど。俺を見張ってるやつらの近くの木に命綱をつないで、草を採取した。本来、無属性の浮遊魔法で浮かびながら採取すれば楽々なんだけどな。採取した草を普通のバッグの中に詰めて。綱をほどき、崖下に綱を捨てて。帰り道もテクテク歩いた。
「俺、イータの後をつける意味がわかんなかった。なーんでなんかねぇ?」
「ランクが高いやつAとかSとかがイータから強い魔力を感じるんだとさ」
「気のせいだな、常に気を張ってるからじゃないか?」
マジかよ?収納魔法の中身の魔石のせいだな。多分。俺には力はないだろう。多分。




