第2話 2つ目のスキル
ふぅ、随分昔のことを思い出したもんだ。あれから俺は村を出た。いてもいいことないし。
風の噂で聞いたのだが、フェイは最近やっと俺に自分のスキルが盗まれていることに気づいたようだ。後の祭り。もう手遅れ。自分の価値がなくなるということを思い知ってもらいたい。
あの時少しでも優しく接してくれたのなら…と思うが、盗んだスキルの返し方なんか知らないし。実際はあいつも周りと同じように俺に冷たく当たり、自分に酔っているっぽかったしな。
まず、食料を得る方法を知らなくてはならなかった。山小屋があったから、雨風がしのげるとそこを拠点にしようとした。
「誰だ…こん…な…所…に…金目…の…も…の…はない…」
死にそうな爺さんがいた。
「俺の名前はイータ。旅人だ」
スキルというものは他人に明かすものではないらしい。
「ただ雨風がしのげると思ってこの小屋にやっかいになる。爺さん、長いこと水飲んでねーんじゃねのか?俺が持ってる水で良ければ…」
爺さんは俺の水を全部飲み干した。どんな胃をしてんだよ?でもま、死にそうな爺さんが元気になったしいいかぁ。
その山小屋を拠点にしている間に、爺さんから多くの知識を得ることができた。食べれる草花から毒草、薬の調合の仕方なんかまで。
「初めて会った時から違和感があった。イータ。お前さんのスキルはただもんじゃないだろ?」
…見抜かれていた。
「俺のスキルは『盗人』。他人のスキルを盗む。今のところ『勇者』のスキルだけだけどな。だいたい『勇者』ってなんだよ?と俺は思うね。魔王もいない世の中でさ」
「お前に与えたいものがある。俺のスキルだ。『狩人』。爺には不要のスキルだ。これでお前は狩りもできるようになる」
「『スキルを盗む』ってどうやるんだ?」
「俺に聞くな。体に触れて盗もうと思えばいいんじゃないか?」
やってみた。できた。
「おお、爺さん!できたぞ!」
爺さんはその時にはもう亡くなっていた。
「おい、爺さん?さっきまで俺といつも通り普通に話してたじゃねーか?なんだよ。いきなり。」
爺さんを埋葬し、俺は旅を続けた。旅の『狩人』として。




