第60話 日記を読んで
「まさか、そんなことが・・・」
日記を読むセレナの手は震えていた。
「この日記帳には母上の施錠魔術がかけられていた。内容が内容だしね。そして開錠条件は恐らく僕だ。」
ルクスの言葉にセレナは彼を見た。
「施錠魔術・・・?」
「手に取り日記を開けようとした瞬間、施錠魔術がかけられているのを感じた。セレナが見ていた日記帳にはそんなものは無かっただろう?」
セレナは頷いた。
「普通に読めたわ。」
「わざわざ施錠魔術をかけてまで日記を書くなんて、と不思議に思った。」
確かに、そこまで読まれたくなければ日記など書かなければいいだけの話だ。
わざわざ高度な魔術を施してまで書き残したかったことがあるのかもしれない・・・。
「お義母さまは、本当のお父さまがユリウス殿下だということをいつかルクスに伝えたいと思っていたのかしら?」
「そうかもしれないね。僕が何が書かれているか知りたいと思った瞬間に日記が開錠されたからね。」
今となってはイレーネの本当の意図は分からないだろう。
しかし。
「お義母さまからの最高の結婚祝いね。」
自分とルクスが姉弟ではないという事実がじわじわと実感されて、喜びが込み上げてきた。
セレナはこぼれ落ちる涙を止めることが出来なかった。
ここ最近流したことのない喜びの涙だ。
「セレナ。愛してる。」
落ち着きを取り戻したルクスが優しくセレナを抱きしめた。
セレナも幸せそうな微笑みを浮かべながら、ルクスの腕の中で頷いたのだった。




