第51話 シルヴァヌス
その後、二人はイレーネの墓を訪れた。
「母上。お久しぶりです。これは父上からです。」
そう言ってルクスはジュストから預かった花束をお墓に供えた。
「今回は嬉しい報告があります。半年前に最愛の女性と結婚いたしました。こちらが妻のセレナです。」
お墓の中の母に話しかけるルクスに倣うよう、セレナも跪いた。
「セレナです。今日は大好きなルクスのお母さまにお会い出来て嬉しいです。私たちが幸せになれるよう、お義母様も見守っていてください。」
そして二人で静かに祈りを捧げた。
※
夜にはシルヴァヌスの王妃や王子たちも交えて晩餐会が開かれた。
ヴィクトルが姉イレーネとの思い出を話してくれたが、聞く限りセレナとヴィクトルのようにとても仲の良い姉弟だったようだった。
「姉は明るくて優しい人だったんです。しかし、カルディアスに嫁いでからは、やはり大国の皇妃というので心労が多かったのか暗く沈んでいることが増えまして。特にフェリクスを産んでからは病がちになり、最期はシルヴァヌスで過ごしたいと希望して・・・」
その時のことを思い出しているのか、ヴィクトルの目にうっすら涙が浮かんだ。
ヴィクトルの話しぶりからすると、お腹に精霊女王の血を引く皇帝の子供を宿すと寿命が短くなることはきっと伝えられていないのだろう。
そんな話が広まればカルディアス皇帝に嫁ぎたいと希望する女性がいなくなるものね・・・。
セレナは複雑な思いでヴィクトルの話を聞いていたのだった。




