第47話 跡継ぎの相手
「私は幼い頃からずっとセレナ様のことをお慕いしておりました。そして将来は公爵家に嫁いで来て頂き、人生を共にするのだと思っていました。」
ソレスの気持ちを初めて聞き、セレナは目を見開いた。
セレナがルクスと出会わなければ、そうなっていた可能性は高かったはずだ。
「ヴィクトルから頼まれたのです。セレナ様が困るようなことがあれば助けてやってほしいと。」
「ヴィクトルが・・・。」
だからソレスはセレナに付いてカルディアスに来てくれたのか。
「セレナ様がいいと思う相手がいらっしゃるのなら、私は諦めます。ですが、そうでないのなら私ではいけないでしょうか?」
「・・・・・・ソレスはそれでいいの?」
ソレスとの間に子を儲けても、セレナの夫になれるわけでもないし、子供の親を名乗るわけにもいかない。
セレナとしては、お互い気持ち的に後腐れのない人がいいだろうと思っていたのだ。
しかし、いざ相手を探すとなるとよく知らない男性に身体を許すことに抵抗を感じ悩んでいた。
ソレスならよく知っているし、信頼できる。
「はい。」
迷いなく頷いたソレスを見て、セレナは小さな声でポツリと呟いた。
「ありがとう。・・・ソレスにお願いする。」
自分から提案しておきながらソレスは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに表情を引き締めた。
「誠心誠意努めさせていただきます。」
「うん。ごめんね。」
セレナは悲しそうな笑みを浮かべソレスに謝った。
ソレスはカルディアスに来てから、近衛騎士としてセレナとルクスの警護に当たっていたので、二人の関係をずっと見てきている。
セレナがルクスを愛していることも分かっているはずだ。
「いえ、セレナ様のお気持ちは十分理解しています。それを知った上で私から申し上げたのです。セレナ様が気に病む必要はありません。」
「ありがとう。」
泣き笑いのような表情で礼を言ったセレナをソレスは切なそうに見つめた。
程なくしてルクスが帰城しドミニクがセレナを呼びに来たため、それ以上二人で話をすることはなかった。




