第4話 出会い
それから二時間後。
キイッ
魔術ホールの扉が開かれた。
「姉さん達、まだやってたのか?」
ヴィクトルが呆れた表情を浮かべ入って来た。
「ヴィクトル、聞いて。ルクス皇子って凄いのよ。魔獣を動けなくする魔術について伺ってたのだけど・・・」
セレナは、今ルクスから聞いたばかりの話をしようとヴィクトルに話しかけたが、当のヴィクトルに遮られた。
「はいはい。姉さんは母上から言われたこと覚えてる?一人で外国の要人を最低十人は接待すること。」
今まで忘れていたが、覚えてはいる。
「覚えてるわよ。今からやるわ。」
嫌なことを思い出さされ頬を膨らませたセレナにヴィクトルは意地の悪い笑みを浮かべた。
「で、姉さんは今まで何人接待したんだ?俺は十八人目をさっき終えたところだけどな。」
「えっと・・・、六人。ルクス様を入れたら七人かしら。」
「ルクス様は俺が初めに接待して姉さんに紹介したからノーカウントだろ。」
「えー、そんなあ。」
涙目になったセレナを見てルクスが噴き出した。
「弟君と仲が良いのですね。」
「そうですか?でも、この子私のことを姉と思ってないですよ。きっと。」
ヴィクトルにやり込められ、セレナはむくれながら反論した。
「姉さんが、もっと年上らしく振舞ってくれたら俺も姉として敬いますけどね。」
ヴィクトルはニヤニヤと笑っている。
「って、そんなことを言ってる場合じゃなかったわ。ヴィクトル。私、すぐに舞踏ホールに戻るわ。あと四人こなさないとお母さまに怒られるもの。」
セレナが焦った表情を浮かべそう言うと、ヴィクトルは可笑しそうに笑った。
「ああ、頑張って。ルクス様の分は姉さんにあげるよ。あと三人だな。」
意地の悪いことは言うが、基本的にヴィクトルは優しいのだ。
「ありがとう。ヴィー、恩に着るわ。ルクス様、いろいろ魔術のお話が出来てとても楽しかったです。ここで失礼しますね。」
頭を下げ、早足で去って行くセレナを男二人で見送った。
セレナの足音が聞こえなくなると、ルクスがヴィクトルに話しかけた。
「見た感じもヴィクトル王子の方が大人っぽいですし、姉弟という風には見えませんね。」
「そうですね。色合いも全然違いますしね。色に関しては姉は父似で私が母似ですし、私の外見は父に似て厳ついですからね。まあ、私と姉は似てないとよく言われます。・・・先ほど姉とルクス様が並んでいるのを見て、私よりルクス様の方がよほど姉弟に見えるなと思いましたよ。」
「そんな風に見えましたか?・・・うちは弟が三人ですが、見た目は全員わりと似てますね。」
「へえ、四人全員男なんですか。カルディアス皇族は男子が多いと聞きますが本当なんですね。」
目を見張るヴィクトルにルクスが苦笑した。
「ええ。私もセレナ様のような可愛らしい姉が欲しかったです。」
「ハハハ。あんな姉でよければ幾らでも差し上げますよ。」
可笑しそうに笑うヴィクトルからもセレナへの親愛の情が感じられた。
そして、二人はセレナの話で盛り上がりながら舞踏ホールへと戻ったのだった。




