第3話 出会い
そんなセレナの様子を見てルクスが励ますように笑った。
「まあ、カルディアスに留学されなくても魔術はどこでも学べますよ。」
「ええ、そうですね。」
「ところで、姉さん。今どこかに行こうとしてた?」
ヴィクトルが話題を変えてきた。
「あ、そうそう。接待が途切れたから休憩がてら一度部屋に戻って、昨日の夜に思いついた魔法陣を試してみようと思っていたのよ。」
その事を思い出し、セレナがソワソワし出した。
そんな姉を見て、ヴィクトルが笑顔になった。
「ハハハ。姉さんらしいや。それは引き留めて悪かったな。」
姉の魔術オタクぶりをよく分かっているのだ。
「ではルクス様。ごきげんよう。」
挨拶もそこそこに立ち去ろうとしたセレナをルクスが引き留めた。
「あの・・・、どのような魔法陣なんですか?」
「・・・。」
ん?この方も魔術が好きなのかしら?
まあ、カルディアスの皇子様だものね。
そう思いつつ、セレナは簡単に昨日思いついた魔法陣について説明した。
「空間移動の新術式?・・・ああ、なるほど、それは思いつかなかった。いい術式ですね。」
ルクスはセレナから受けた説明を元に、頭の中でその魔法陣を想像しているようだった。
思いの外、食いつきのいいルクスにセレナも気を良くして調子に乗って説明しているうちに他の魔法陣の話になり、延々と会話が続きそうになった。
「姉さん・・・。そういった話は別室でやったら?」
呆れた表情を浮かべるヴィクトルにセレナもハッとした。
「そうね。ルクス様、今から私の部屋に来られます?」
「「え?」」
ルクスとヴィクトルが同時に驚きの声をあげた。
「え?」
予想外に驚かれ、セレナも驚いた。
「姉さんは未婚の女性なんだから、そんな簡単に親族以外の男性を部屋に入れたらだめだろう。それにルクス様にも不名誉な噂が立ってしまう。」
「べつに一緒に魔法陣を試すだけなんだけど。私の部屋は防魔術加工がされているからいいかなって思ったんだけど。」
防魔術加工とは威力の大きい魔術を発動させたり、魔術暴発が起こった時に備え、部屋を防御魔術で覆った状態にする加工だ。
普通、魔術実験棟などに施されるもので、間違っても王女の部屋に施すものではない。
セレナが魔術暴発を起こし部屋の壁を二度壊したため、祖父のラウレンティウス侯爵が施してくれたのだ。
「部屋に防魔術加工をされているんですか?」
ルクスも驚いているようだ。
「じゃあ、地下の魔術ホールにしましょうか。」
話の合うオタク仲間を見つけて、セレナは彼を連れてウキウキと地下へと向かったのだった。




