第33話 新しい家族
仕事の話が落ち着いたのを見計らって、末の弟のマリヌスが声をかけてきた。
「セレナ姉さま。オストマルクから帰ってきたら、僕が考えた魔法陣を見て頂けますか?」
マリヌスは魔術が大好きな少年で、新しく出来た姉を大歓迎してくれていた。
セレナが笑顔で返事をしようとする前に、三番目の弟であるノクスが口を開いた。
「何言ってるんだよ。半分以上、僕が考えたんじゃないか。手柄を独り占めするなんてずるいぞ。」
その言葉を皮切りに二人の口喧嘩が始まった。
下の二人は上の二人と年齢が離れているせいか、この二人でつるんで遊んだり学んだりしていることが多いのだ。
「こら、二人共食事中だぞ。静かにしなさい。」
ルクスに怒られ、二人がピタッと黙り込んだ。
セレナはクスクス笑いながら二人に話しかけた。
「オストマルクから帰ったら二人に連絡するわ。三人でその魔法陣を試してみましょう。」
「「はい!」」
ノクスもマリヌスも笑顔になり、同時に頷いた。
「オストマルクから帰るのが遅くなる可能性もある。僕たちが帰るのが七時を過ぎるようなら先に寝てるんだぞ。その時は、魔法陣を試すのは明日にしなさい。いいね。」
ルクスが付け足すようにそう言うと、フェリクスがプッと噴き出した。
「兄上は二人の母親みたいですね。前からそういう傾向はあったけど、セレナ姉さまが来てから酷くなった気がする。」
弟の言葉にムッとした表情を浮かべたルクスにセレナが慌てて謝った。
「ごめんなさい。私が二人を甘やかしすぎてるのね。」
頼りがいのあるしっかりしたヴィクトルとは違い、小さい二人の弟はただただ可愛かったのだ。
セレナ自身にも甘やかしているという自覚があった。
「「そんなことないですよ!」」
セレナの言葉をすかさずノクスとマリヌスが否定した。
それを聞いてフェリクスが大笑いし、不機嫌そうだったルクスや普段あまり笑わないジュストも笑顔を浮かべたのだった。




