第31話 家族からのプレゼント
結婚式の二日後、両親とヴィクトルはヴァレンティンに帰ることになった。
今にも泣きそうな表情を浮かべるセレナをヴィクトルが抱きしめた。
「もう姉さんはしょうがないな。そんな顔をされたら俺たちも帰りにくいだろう。ルクス義兄さんがいるだろう。ソレスも残るし。」
「えっ?ソレスは残るの?」
セレナは驚いて顔を上げヴィクトルを見た。
「よく知ってる人が少しはいた方が姉さんも安心して過ごせるだろう?」
「それはそうだけど・・・、公爵家はいいの?」
「海外留学のようなものだ。今後の勉強になるだろうとヘルヴェス公爵も言っていた。帰国時期については、またソレスや公爵と話し合うさ。姉さんが落ち着いたら帰ってきてもいいし、それまでに困った事があればあいつに相談したらいいよ。」
「もう、みんな過保護ね。でも、ソレスがいてくれたら心強いのは確かよ。私、早く自立できるように努力して、ソレスを国へ帰してあげられるよう頑張るわ。」
姉の言葉にヴィクトルが微笑んだ。
「姉さん、無理はするなよ。悩み事があれば、俺や父上や母上でもいい。一人で抱え込まないで、必ず誰かに相談するようにしてくれ。」
弟の優しさに、引っ込んでいた涙が溢れそうになった。
「ふふ。ヴィクトルの方がお兄さんみたいね。」
「俺は十歳くらいからそのつもりだったけどな。」
「もうっ!」
頬を膨らませるセレナを見てヴィクトルが笑い、つられるようにセレナも笑顔になった。
ヴィクトルとの話に一区切りつくと、マイラが近づいてきた。
「セレナ。これからも、もしかしたら想像も出来ないような辛いことが起こるかもしれないけど、私たちはずっとあなたを愛しているし、あなたの味方よ。これを私たちと思って持っていて。」
そう言うとマイラは小さな箱をセレナに手渡した。
セレナが箱を開けると、中には美しく輝く宝石のついたネックレスが入っていた。
上の方が透明な緑色をしており、下にいくにつれて青色に変化していくような不思議な色合いの石だった。
「これは透明な魔鉱石に魔力を込め、私が加工したの。レックスと私とヴィクトルの瞳の色を入れたのよ。魔力を込める時には二人にも手伝ってもらったの。」
その言葉に、一度止まっていた涙が再び溢れ出た。
セレナは涙をこらえるように小さな声で呟いた。
「ありがとう。お母さま、お父さま、ヴィクトル。大切にするわ。」
そんなセレナをマイラとヴィクトルが抱きしめ、その外からレックスが三人を抱きしめた。
その後、愛する家族たちは名残惜しみながらもヴァレンティンへと帰って行ったのだった。




