第28話 ルクスとソレス
儀式を終えた後、一般向けの皇帝就任パーティーが皇城で行われた。
表向きはルクスが皇位を継いだことになっている。
「おめでとうございます。ルクス陛下、セレナ皇妃。」
他国の王族や貴族が挨拶に来る。
彼らの祝辞を空しい気持ちで聞きながらも、セレナは精一杯の笑顔を貼り付けて対応していた。
大方の挨拶が済むと、一度控室に行き親族だけで小休憩を取ることになった。
セレナが控室へ移動する際、ヴァレンティンの近衛騎士として警護に当たってくれていたソレスも一緒に動くこととなった。
控室に入ると、セレナはふうっとため息をついた。
疲れた・・・
緊張が解け、滅入る気持ちにセレナの表情が暗くなりかけた時、ソレスがセレナに声をかけてきた。
「セレナ様。ご結婚おめでとうございます。」
「ソレス」
セレナはヴィクトルがソレスに真実を話し誓約させていることを知らない。
「近衛としてわざわざカルディアスまで来てくれたのね。ありがとう。」
よく知った幼馴染の顔を見て、セレナの顔に心からの笑みが広がった。
そんなセレナとソレスが話しているのを横目にヴィクトルがルクスに近づいた。
「ルクス様、この度はおめでとうございます。」
「ヴィクトル王子。ありがとう。」
この二人はお互い、相手が事実を知っていることを知っている。
そのため微妙な表情での再会となった。
ヴィクトルはルクスに飲み物の入ったグラスを差し出した。
「あちらに軽食も置いてあります。今日はお食事をゆっくり取るお時間も無かったでしょう。ご一緒にどうですか?」
ヴィクトルの言葉にルクスが頷いた。
「そうですね。」
セレナから離れたところまで来ると、ヴィクトルが小声で話しかけてきた。
「今、姉と話をしているのはヴァレンティンのヘルヴェス公爵家の長男でソレスと言います。」
その言葉にルクスは二人の方へ視線を向けた。
男らしく精悍な感じの青年で、騎士の正装がよく似合っている。
先ほどまで引きつった笑顔を浮かべていたセレナも心から笑っているようで、仲の良さが感じられた。
「元々、姉の降嫁先として最有力候補と言われていた男です。」
その言葉にルクスは驚いてヴィクトルを見た。
「私や姉とは幼馴染で、幼い時から親しくしていました。姉は彼のことを私と同じ弟分と思っていますが、彼は姉に好意を抱いています。」
「・・・」
ヴィクトルが何を言いたいのかは大体察することが出来た。
「彼には誓約させ、すべてを伝えてあります。後継者を求められ、相手の選別に困るようなことがあれば、彼をお使い下さい。」




