第17話 秘密の会談
ジュストは暗い表情でヴィクトルを見た。
「セレナには次代の皇帝を産んでもらわないといけないし、ルクス以外の男性との間に子を儲けてもらうことになるでしょう。」
「愛する男性と結婚したのに、その人とは触れ合うことが出来ずに別の男性に身体を委ねろというの?そんなのひどすぎるわ!」
マイラが涙を流し抗議した。
それが酷い仕打ちであることはジュストにもわかっている。
ずっと穏やかだったジュストも声を荒げた。
「じゃあ、どうすればいいんだ?セレナを皇帝にせず世界の終りを待つのか。それとも実の姉弟で子を作れというのか?」
気まずい沈黙が訪れた。
「ジュスト陛下。一度にあまりに多くの話を伺って、私を含めセレナも混乱しています。おっしゃられている内容は理解できましたので、返答は後日でも?」
もはやレックスにも怒りの色はない。
今の話を聞いて、この世界を守るには選ぶ選択肢は二つしかない。
セレナが皇帝として表に出るか、影の皇帝となるかだ。
そして、どちらを選んでもセレナが皇帝になることは決定事項だ。
彼女が皇帝にならねば、この大陸に住む数十億の人間が魔獣の餌になるのだ。
しかし、今すぐこの場で返事をする必要はないだろう。
若いセレナがその事実を受け入れるには時間がかかるはずだ。
あまりに苛酷な責務を負わされたカルディアスの皇族とそれを受け継ぐことを余儀なくされた最愛の娘にレックスは胸を締め付けられるような思いを押さえることが出来なかった。
「もちろんです。せっかくの祝いの日に、このような話を持ち込んでしまい申し訳なく思っています。私も一度国へ帰ります。」
そう言うとジュストは立ち上がり、青ざめ俯いているセレナに目をやった。
そして、やるせない表情を浮かべた後、軽く首を振り無言でその場から消えるように立ち去った。




