第15話 秘密の会談
対するジュストは蒼白になりながら頭を抱えていた。
「私だって、こんなことは言いたくない!でも、もうカルディアス皇族は限界なんだ!帝国が崩壊したら、北の魔獣は南へ来る。そうしたらこの国も他の国も、大陸の国は全て終わりなんだ!」
只ならぬ様子のジュストにマイラは何か理由があると感じた。
「どういう事?ジュストちゃんと説明して。」
「マイラ!」
レックスが非難するようにマイラに視線を向けた。
「レックス。まず話を聞いてみましょう。どうするかはそれから決めたらいいわ。」
レックスは不満そうな表情を浮かべながらも再びソファに腰かけた。
「セレナとヴィクトルも、もう一度座って。」
母に言われ、二人共しぶしぶ元の席についた。
全員が座るとジュストが口を開いた。
「カルディアス帝国の起源ですが、千数百年前天才魔術師のカルドが精霊女王と結ばれ国を興したということはご存じですね?」
皆が頷くのを見てジュストが続けた。
「カルディアスには要所六カ所に精霊女王の石像があり、その石像に女王から受け継いだ魔力を歴代の皇帝が定期的に注ぎ込むことで結界を維持しているのです。」
北に住む魔獣がガリア大陸に入ってこないように、帝国が何らかの結界を張っていることは知られていたが、精霊女王から受け継いだ皇帝の魔力によるものということは初めて知り、四人は驚きの表情を浮かべた。
「女王の魔力を薄めないようにするため、皇族内で近親婚が繰り返されました。その結果、血が濃くなりすぎた弊害からか五百年ほど前からカルディアス皇族には女児が生まれなくなったのです。」
「女児が極めて生まれにくいということですか?」
レックスの問いにジュストは首を振った。
「いいえ。五百年前から皇族に女児は一人も生まれていません。」
カルディアスの皇族に男子が多いことは有名だったが、五百年前も全く女の子が生まれていないというのはなかなか信じがたい。
「それに気付いた帝国は、他国や血縁関係のない貴族から王妃を迎えるようになりましたが改善は見られませんでした。それどころか代を重ねるごとに生まれた男子皇族の寿命がどんどん短くなっていったのです。」
マイラはハッとしたようにジュストを見た。
確かに若い皇子が五人も立て続けに亡くなるなんて不自然だと、その時も思ったのだ。
「病を生じやすく、感染症にも弱く、子供も出来にくい者が増えました。そして近年に至っては十代、二十代で命を落とす者が続出するようになったのです。カルディアス皇族は魔力は高いが、生物の種として完全に劣性の種となってしまっているのです。」
四人は息を呑んでジュストの話に聞き入った。
「そんな中、三百年ほど前に預言者ネリッサが予言を残したのです。カルディアス皇族に女児が生まれることがあれば、その子を皇帝にすることでこの状況を解決できると。」




