第14話 秘密の会談
うつむきポロポロと涙を流す姉を見て、ヴィクトルが気遣わしげに視線を向けてきた。
ルクスとセレナの関係を知っているだけに、何と声をかけていいのか困っているようだった。
「私とルクスの関係を聞いて、陛下は私のことを調べようと思ったんですね。よく分かりました。もうルクスとは会いません。それでいいのでしょう?」
セレナはそう言いながら、涙を流し親の敵を見るような視線をジュストに向けた。
「セレナ、それはどういう・・・?」
マイラが驚いたように娘を見た。
セレナは泣きながら嗚咽を漏らし始めた。
そんな姉を気遣う様にヴィクトルが代わりに答えてくれた。
「姉さんとルクス皇子は五百年祭で出会って、お互い惹かれ合ってたんですよ。二人の間で結婚の約束もしていました。」
「「!」」
マイラとレックスは目を見開いた。
「そんなこと一言も・・・」
母の言葉にヴィクトルが苦笑した。
「母上たちがカルディアスのことを良く思ってなさそうだったから、姉さんも言いづらくて隠れて会ってたんです。」
「ああ!」
マイラは両手で顔を覆った。
初めからセレナがレックスの子でないと伝えるべきだったのか?
そうしたらセレナがルクス皇子と恋に落ちることはなかったのか。
涙を流し嗚咽する娘を見て、マイラの心は痛んだ。
ヴィクトルが慰めるように姉を抱きしめているのを横目に、レックスが口を開いた。
「ジュスト陛下のご用件はわかりました。確かにセレナとルクス皇子が結婚するのはまずいでしょう。しかし、事実を公にしても傷つくのはマイラとセレナです。セレナにはもうルクス皇子と会わないようにさせますので、このことは陛下の心の内で収めて頂ければと存じます。」
レックスの言葉にセレナは泣きながら俯いた。
悲しいがどうしようもないことだ。
彼を諦めるしかない。
こんな酷い話を持ち込まれ、実の父と言われてもセレナはジュストから一刻も早く離れたかった。
「私、気分が優れないので部屋に戻ります。」
セレナはヨロヨロと立ち上がった。
父も母もそれを止めず、ヴィクトルは”部屋まで付きそうよ”と言って一緒に立ち上がってくれた。
「違う。私はルクスとの結婚を反対などしていない。逆だ。セレナにはルクスと結婚してカルディアスに来てもらいたいんだ。」
この人は何を言っているのだ?
セレナとルクスが血の繋がった姉弟だと自分が暴いたばかりではないか。
ヴァレンティンの四人は目をむいてジュストを見た。
「何を言ってるんだ?そこまでして実の娘を手元に置きたいのか?いい加減にしろ!」
レックスは礼儀をかなぐり捨てて、ジュストを怒鳴りつけた。




