第13話 秘密の会談
「マイラ」
レックスがマイラの身体を引き寄せ、慰めるように抱きしめた。
そんな二人を切なそうに見ながらジュストが言葉を続けた。
「息子のルクスが先の五百年祭でこちらを訪れた時、セレナ姫と話をしたという報告を受けました。姫について話を聞く中で、ルクスよりも一か月年長だということを知り、まさかと思ったのです。」
レックスはその言葉に表情を強張らせた。
何も知らされていないヴィクトルが尋ねた。
「まさかとは?」
「セレナが私の子ではないかということです。マイラがカルディアスに留学していた時に魔術学院で出会い、私たちは恋に落ちました。」
初めて聞く話にヴィクトルとセレナは目を見開いた。
お母さまとカルディアス帝国の皇帝陛下が?
「その当時、私は第六皇子という身分でした。上に兄が五人いましたし、私は帝国の魔術庁で働くつもりで、恋愛もわりと自由だったのです。しかし、運命は無情でした。五人の兄が当時流行っていた感染症で次々と亡くなったのです。」
「五人も次々と・・・?」
ヴィクトルが信じられないという様に呟いた。
「結婚式の日取りも決まっていた皇太子だった兄の婚約者をあてがわれ、私は強制的に結婚させられたのです。」
ジュストはそこで一旦話を止め、つらそうな表情で目を閉じた。
「そして帝国の皇子としての義務から逃れられなかった私はマイラに別れを告げました。」
マイラは青ざめ俯いている。
「私はマイラを愛していた。なのに・・・。」
涙を浮かべるジュストにレックスが声を荒らげた。
「それで、あなたはセレナが自分の子かどうか確かめたかったというのか。私はマイラの腹にあなたの子がいると知った上でマイラに求婚したんだ。セレナを自分の子として愛しているし、セレナも私を父と慕ってくれている。今さらそんなことを明らかにしてどうなるというのです?幸せに暮らしている家庭を壊すだけでしょう!」
レックスは本気で怒っているようだ。
レックスの言葉を聞きセレナは頭が真っ白になった。
じゃあ、私とルクスは実の姉弟ということになるの・・・?
そんな・・・。
自分のことを愛していると言ってくれ、セレナも会うたびに彼が好きになっていった。
確実に育っていた恋だったのに。
聖教会は兄弟姉妹による近親婚を禁忌としている。
ルクスとセレナが相思相愛で結婚を望んでいると聞いて、皇帝陛下は血の繋がった姉弟かどうかを調べに来たのね・・・。
だからお母さまは私がカルディアスに行くのをあれ程拒絶していたのね・・・。
全ての符合が一致した。




