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騒動30 優愛菜のひとりごと

皆様…メイドのミタリーでございます。

短いようで…長いお付き合いでございました。

ここまでお世話になり本当にありがとうございました!!


私の出番は前回で終わりでございますが…リデル様とユアナ様のお話はもう少し続きます。

よろしくお願いいたします。


このミタリー。このお仕事がとても大好きでございました!!

最後は勝手に降板扱いされてましたが――まぁ。寿退社ですので。


皆様、お体を大切に…またどこかでお会いすること…あるかわかりませんが、

元気にお過ごしになってくださいませ。

ここまで本当にありがとうございました。



 あー。

 ドレスが重い。動きづらい。暑い。面倒くさい――。



 ボクがリデルと結婚して――半年が過ぎて。



 シュウたちが初めてアスィミ皇国に来て1年半後のこと。


 

 ボクは「皇太子妃」という立場でアスィミ皇国にいる。



◆◆◆



「いらっしゃいっ!!」


 

「僕はマリーに会ってくるから。帰るときは声をかけろよ。

ただし…ゆっくりしてろ」

 と、着くなりカロはいつもの如く――素っ気ない態度でマリーの元へと急いで行ってしまった。



「あの2人はどうなんだ…優愛菜」

「仲いいよ。カロたちも早く結婚しちゃえばいいのにね」

「でもお前、マリーと一番仲がいいんだろう?

 カロはマリーをロバロに連れて来ることになると思うぞ?」

「仕方ないよ。マリーもいつもカロの話ばかりするもん。

 会いたくて仕方ないんだと思うからさ」



 この日カロが連れてきたのは秋とセスカ。

 セスカは今――秋との子供がお腹にいて――随分と大きくなって目立ってきてる。



「『奈落タルタロス』のことは聞いたよ。

 秋ってばますます「ロバロの英雄」が板についてきちゃって……」

「お前こそ。ドレスに身を包み、剣を片手に颯爽と城に入り込んだ賊を退治したって。

 「勇者王妃ユアナ」の名声がロバロまで響いてるぞ……。

リデルさん…可哀想に」

「どっちもどっちだろう?」

 セスカの言葉が少し耳に痛い。

 ボクと秋は呆れるセスカから視線を外した。



「で。結婚生活はどうなんだ…ユアナ?」

 城のボクの部屋に2人を通して、メイドの1人がボクたちのお茶を淹れてくれた。



 そしてそのメイドさんが部屋から出たのを見て

「仕来りとか超面倒くさいっ!!

 リデルのお嫁さんになれたのは嬉しいけど、どうして細かいことまで「ああしろ、こうしろ」ってうるさいんだろう、王族って」

 ボクは真剣に悩んでいるのに、秋とセスカは笑い声をあげた。

「笑い事じゃないよっ!!」

「悪い悪い。でもいいじゃないか…幸せで」

 秋の言葉が妙に実感が篭ってて――反論しにくかったから

「そうかな」

 というだけで留めた。



 それから秋は「リデルさんに用事がある」と部屋を出て、ボクはセスカと2人だけになった。

「何の話なんだろう」

「男同士で何かあるんだろう?いいじゃないか」

「で、セスカ。今何ヶ月だっけ?」

 セスカはボクの質問に笑顔で「8ヶ月だ」と答えた。

「それじゃあともう少しだね。男の子か女の子かまだわからないんでしょ?」

「こんな時期にわかるわけないだろう」

 


 あ――そっか。

 ここ日本じゃないもんね。

 エコーとかで、お腹の子供の性別なんて調べられるはずもないし。



「そうだよね。

 何言ってるんだろ、ボク」

「いいよ。シュウが言っていた。

 シュウやユアナがいた世界は、あの月まで人が行けたぐらいだって。

 こんなにお腹が大きくなれば、お腹の子供の性別も簡単に調べることが出来たらしいな」

「うん。わかってたはずなのに……」



「ここでの生活は慣れたか?」

「窮屈とか面倒くさいとか除けば、快適だよ。

 それにしなきゃいけないことも段々わかってきた。

 ボクなりに出来ることを頑張りたい」

「それだけ言えれば上出来だろう」

 そう言ってセスカが笑った。

「そうだね」

 ボクも釣られて笑っちゃった。



◆◆◆



〈リデルサイド〉

「悪いな…ここまで来てもらって」

「いいえ。だいぶ皇太子が様になってきましたね」

「はは。「ロバロの英雄」に言われるとは光栄だな」



 俺はシュウと中庭にいる。

「それで…ミタリーさんとデヴィットさんは、順調なんですか?」

「順調も順調。今度は2人目が生まれるらしいぞ。

 君たちと同じころじゃないか」

「それは順調だ」

 そう言ってシュウは笑っていた。



「ミタリーもそうだが…あのとき君たちと出会って、俺たちは色々助けられた。

 今更だが…本当にありがとう」

「そんなもの。助けたうちになんて入りませんよ。

 リデルさんたちが努力したからです」

 シュウ――相変わらず器のデカい男だ。



「話…「デウス・エクス・マキナ」の正体でしたね」

「あぁ。あのとき、君が言い澱んでいたのがずっと気になっていてね。

 一体誰だったのかと……」

 しばらく沈黙したが、シュウは重い口を開いた。



「俺の親父の親友だった人でした。3000年生き抜いて…段々精神が病んで、壊れて。

 この世界をぶっ壊そうとして……。

 それは優愛菜のよく知っている人でもあったんです。

 ですから…あのときは言えませんでした」

「君は…君たちはそんな人物と戦って…倒したのだな」

「皆が力を貸してくれたおかげです。

 俺1人の力じゃ無理でした。でも、あのあと、直人さんが気になることを言いましてね。

 本当は優愛菜は、俺たちと合流するために、この世界に召喚されて来たんじゃないかって。でも…それを変えたのはあなただろうと。

 俺もそう思ってます。

 だから優愛菜を俺たちの戦いに巻き込まないで済んだ…礼を言うのはこちらです」

 俺は返す言葉がなかった。

 それは単なる憶測だろうに――どうしてそんなことで俺に礼をいい――頭を下げるのか。



「君たちも…ユアナを大切に思っていてくれたんだね。

 お礼を言うのは俺の方だろうと思うが……」

「優愛菜が出会ったのがあなたで良かった。

 あいつ…いつも寂しい思いをしていたから……こちらに来ても、ずっと心配していたんです。好きだというか…妹的な感じですけど」

「そう言う意味で好きだったら…俺はこの場で君と決闘を挑まないといけないだろうが」

「その前に、俺がセスカに殺されますよ」

 俺とシュウは互いに笑いあった。



◆◆◆



〈ユアナサイド〉

「ここにいたんだね」



 リデルとシュウが中庭で何かを話してたみたい。



「セスカまで。妊婦を連れて…まだ外は寒いだろう」

「リデル殿。セスカ・タカモリの体力を舐めないでいただきたい」

「それはそうか」

 ボクたちはまた笑った。



 外はやっと春の季節がやってきたばかりだもん。

 そりゃ、寒いよね。

 木々の葉っぱもまだ小さいし――。



「3月…弥生やよい…か」

 秋がそんなことを言った。

 秋の3歳年下の妹さんの名前が「弥生」。

 元の世界にいるんだよね――ボクも両親と離れ離れだけど――秋の家族はボクが羨ましいとずっと思ってたくらいに仲がよかったからな。




「今度はお前たちの子供を見せてくれ。

 楽しみにしてるからな」

 突然秋がボクにそんなことを言った。



「案ずるな。そう待たせない」

 リデルまでっ!!



「ボクがもう少しリデルとイチャイチャしてたいっ!!子供はもう少しあとっ!!」

「俺は…いや…俺もそうか。子供にユアナを取られたくないと思うな」



「……しばらく無理だな。こいつらは…」

「そうだな」

 


 秋とセスカが呆れてボクらを見てたけど、ボクらは構わず惚気けてた。

 


 だって――これがリデルとボクのやり方だもん。仕方ないよ。



「ねっ、リデル」

「そうだな」

 





           「メイドは見た!!~ボクと勇者と皇子様~」――終わり


前書きでもどなたかがご挨拶されていますが…本当に4作品最後の完結でございます。

本当にありがとうございました!!


この作品も、お気に入り登録、作品評価…そして感想まで!!

私としては色々と実験的要素も含みまして…最後なんか…ちょっと某テレビドラマ的な要素もすこーし入れさせていただいたり;

かなり遊ばせていただいたものでもあります。

「ロバロからの~」に入ってからは、シリアステイストも入りましたが;

こんな変な作品にお付き合いいただきましてありがとうございます。


最後にお詫びを…。

「ロバロ~」からは「今から英雄!!」という作品の後日談を入れてしまったため、皆様には「なんだこれ?」という感じを与えてしまったかもしれません。

謹んでお詫び申し上げます。

 ミタリーさん…最後なんとかハッピーエンドに持って行きたくて;; 

これは私の暴走ですね。すみません;;



またどこかで変な作品を書くかもしれませんが;;

お会いすることがございましたら、よろしくお願いいたします。

本当にありがとうございました。

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