29話 夏休みの旅行 その2
投稿します。よろしくです。
馬車から降りて、シーナの入口でシュリが入場料を払い、俺は冒険者カードを見せて中に入った。今後の為にシュリの冒険者カードを作っておいた方がいいかもしれないな。
「シュリ、今後使うかもしれないから冒険者カードを作っておくか?持っているだけで、損はないと思うぞ。」
「う〜ん、アッシュに任せるわ。どうしよう?作ろうかな。何に使えるの?」
「町の入場料がただになり、身分証明書になる。盗賊や犯罪者は作れないからな。あとは、冒険者ギルドで依頼を受けられるとか?簡単に作れるから作っておくか?」
「そうします。このまま向かいますか?」
「そうしよう。」
何度も来ているので、俺は慣れていたが、シュリには大き過ぎる建物で、目を丸くしていた。
「シュリ、中に入るぞ!」
「はい、待って下さい。」
建物の中に入ると、おしゃべりしていた声が止まった。皆が俺を見ている気がするが面倒なので無視だ。受付までたどり着くと、シュリが遅れているようだった。
「シュリ、こっちだ!」
てくてく歩く姿が可愛いと思ってしまうが、どうも場違いにも感じる。受付に冒険者登録をお願いした。
「こんにちは!冒険者登録をされたいという方は、こちらのお嬢さんですか?」
「そうだ。よろしく頼む。」
「15歳ですね。こちらの水晶に手をあてて下さい。犯罪歴など調べますので……はい、問題ありません。出身は、ネトの村と……、以上になりますのでこちらのカードをお持ち下さい。」
Gランクのカードをシュリが受け取っていた。カードは一生ものだから大事にしてほしい。
「ちなみに俺のカードは、Dランクだからシルバーで出来ている。ほれ!」
シュリのカードは木で出来ていて、新品だが、何となく頼りない感じもする。自慢するつもりはなかったが、そのように感じたのか?
「ありがとう。」
と言いシルバーの方をしまい、木を俺に渡そうとしているではないか!冗談だよな?交換出来ないぞ。
「はい!」
ちゃんと返してくれたのでいいです。カードも作れたので、ギルドを後にした。俺に話しかけたいが、話しかけられない連中が複数いた。
防具屋のレイラに会いに行きたいが、自粛して町で一番の宿屋に向かった。どうせなら普段贅沢しないのだから、シュリにはいい宿を覚えてほしい。
「カラン、コロン」
宿の扉を開くと、黒服の男性が近づいてきた。
「ご予約はありますか?」
「予約してないけど、一部屋借りられないか?」
「確認して参ります。こちらでお待ち下さい。」
案内された所は狭いラウンジであり、飲み物も自由に飲めるようだ。
「シュリ、好きに選んでこいな!」
シュリが飲み物をとりに向かって少しすると、黒服がやってきて大部屋になるが、金貨20枚で借りることが出来た。
「シュリ、いくぞ!」
飲み物を持ってこちらに来たので、二人で飲み終えてから移動した。案内された部屋は、今までで一番豪華であった。いや、貴族のはなれと同じくらいか?
「ごゆっくりお休みください。」
黒服が去ってから、シュリと部屋を見て回っている。虎の像の口から湯が出続けており、冷蔵庫の中には十分な飲み物が入っていた。キングサイズのベッドが二つ並んでおり、ゆっくりできそうだ。
「何だか落ち着かないです。この宿はいくらしたんですか?」
「値段の事は気にするな。経験は大事だからな。夕食でも食べて来るか?」
「はい、……。」
二人で移動した食堂のテーブル席について待っていると、次々と皿に盛られた料理が運ばれてきた。初めは野菜、途中で肉があり、最後はスイーツでしめだった。ワインもかるく頂いておいた。
「何だか夢の中にいるみたいです!料理が美味しくて、感動しました。マーサにも食べさせてあげたいです。」
「マーサは、王都の学園にいた位だから食べたことがあるよ!」
二人で部屋に戻り、風呂に交代で入ってから疲れもあったのかシュリは爆睡していた。俺は疲れていないので、目だけ閉じておいた。
翌日、シーナの町の入口で馬車に乗り、そのまま北西を目指した。俺達以外にも同乗している者もおり、シュリの安全と荷物には注意しておいた。大事な物はダークボックスに入っているので問題はないが、念のためだ。
シュリは器量がとてもいいので、どうしても目立っている気がする。誘拐して奴隷商に売ろうとするものもいるだろう。今乗っている馬車でさえ、シュリの事をチラチラ見ている者もいる。
「シュリ、もうすぐ村に着くだろう。そこまでの辛抱だ。疲れているなら、こちらにこい。」
シュリは人並み以上に体力はあるが、慣れない環境に疲れが出ているようだ。俺に寄りかかる様にしていると、御者が騒ぎだした。
「ラージウルフの群れがこちらに向かってきている。逃げられそうにない!誰か戦える人はいないか?」
冒険者が俺達以外にもおり、二人手を上げていた。ラージウルフ7頭いるので、少しきついな。俺も手伝おう。
「俺も参加しよう。」
止まった馬車に物凄いスピードでよだれをたらしながら飛びついてきたのは大型の狼であった。二人の剣士が前に出たが、一人では一体が限界のようだ。
残りの5体が馬車に向かってきたので、シュリを馬車に残して瞬殺した。首をかるくチョップしたら骨がへし折れたので、5体倒してダークボックスにしまって馬車に戻った。残りの2体は、何とか剣士が倒していたのでいいだろう。
「馬車をすすめてくれ!」
シュリの側に座り、目をつぶっていたが、こちらをうかがう目がとても気になった。
何か風邪が流行っている!




