15話 シーナの英雄
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翌日、マッシュが舵を操作する事で、港に何とか戻ることが出来た。途中、俺達が乗ってきた船が待機しており、向こうはかなり警戒していたが、手を振り俺達の姿を確認したら喜んでいた。
「海賊は全員討伐してきたぞ!軍船を奪ってやったよ。はっはっは。」
「お前らすげぇーな!お祝いだ!!うぉー!」
「さっさと帰るぞ!!」
港まで戻り、錨を下ろし船を着けてから、町でどんちゃん騒ぎとなった。冒険者6パーティーが港の高級飲食店で、朝まで酒や食い物を食べ、支払いは金貨100枚を越えていた。マッシュが多めに出して、残りを俺達3人が足した感じで支払った。もともとマッシュは、ギルドからの報酬が多いようだ。
「味方の軍船の指揮官が港まで送れとうるさくてな。一旦港まで送り届けてから、再度迎えにきたんだ。」
「海賊の討伐報告はしたのか?マッシュ!」
「いや、これからだ。明日、馬車に乗りシーナに戻ろう。その時に説明するつもりだ。」
翌日になり、全員が睡眠をとらずにそのまま馬車に乗り込みシーナに向かった。軍船内の剣や防具は、いい剣や防具だけ討伐メンバーの4人でいくつかもらい、残りを他のメンバーに譲っておいた。残りのけちな剣だけ船内に残しておいた。
馬車に揺られて数時間後、昼前にはシーナに到着した。その足で冒険者ギルドに向かい、マッシュが代表してギルドマスターに報告に向かった。残りのメンバーはギルドに併設する食事処で飯を食べる事になった。
「依頼が完了したら、しばらくサラサの町に戻ろうかな?金も出来たので、少し勉強でもしよう。うん、それいいな。」
「何?アッシュは学校にいってないのか?かなり頭が良さそうだが……。」
「あぁ、知り合いが学校に通っていてな。生活費が必要だから、俺が冒険者を始めたんだ。」
ダンテやバネッサと雑談をしていたら、マッシュが戻ってきた。
「全員、聞いてくれ!依頼は達成だ。インセンティブを加えて、報酬金貨70枚だそうだ。良かったな。それで、残念な知らせだが、軍船はギルドが管理することになった。まぁ、子爵軍に回収されるだろうな。」
「仕方ないのか?よっしゃー!飲み潰れるぞ。」
「それと、アッシュ、ダンテ、バネッサの3人はギルマスが話があるから俺ときてくれ。他の連中は報酬をもらいに行け!さぁ、解散だ。」
マッシュの後ろに続き、階段を上るとギルドマスターの部屋があった。中に入ると小太りのオッサンが立ち上がった。
「よく来てくれた。君達4人にはとても感謝している。そして申し訳ないとも思っている。シーナの軍から軍船の引渡しの命令が先ほど届いた。調査という名目だが、あれは自前の壊れた船の代わりにするつもりだな。軍もかなり人名を失っており、金の支払いに困っての事だろうな。」
「みんなも聞いた通りだが、いいか?特にアッシュは不満があるのではないか?」
「いや、ないよ。それでいい。」
「そうか。ありがとう。ギルドから4人に対して出来る限りの報酬を出そう。4人とも全員ランクアップだ。報酬も追加で出す。それと、マッシュから聞いたが、Fランクにかかわらず、大活躍したそうだな。お前は特別にDランクに昇格だ。シーナに英雄が誕生した。これで、シーナは救われるだろう。」
一階に戻れば、冒険者達が稼いだ金で飲み会を始めていた。俺は3人にまた機会があれば会おうと、別れを告げてからレイラの防具屋を目指した。まだ、明るいので店もやっているだろう。
「カラン、コロン」
店の扉を開けば、相変わらず客はおらずレイラが店番をしていた。俺の姿を確認して、目を丸くしていた。
「海賊討伐は完了したぜ。ちょうど今、戻ってきたところだ。夜、飯でも食べに行かないか?」
「へぇ〜、お帰りなさい。別にいいけど、店を閉めるまで待ってちょうだい。疲れてないの?」
「わかった。大丈夫だ。その間にこの間の商人の所に行ってくるわ。じゃあな。」
「ちょっと、待ってよ!!無理に行く必要はないのよ?」
「な~に、すぐ戻るよ。」
シーナ子爵家の次くらいの大きさの大きな屋敷にやってきた。門番が入り口の前にいた。
「おい、ゲスネに会いに来たんだが……どこにいる?」
「何だ貴様。ゲスネ様に用があるだと?貴様の様な奴と約束があるわけない。失せろ、馬鹿が!」
「ゲスネがいるかどうか答えろ!」
兵士の首を掴んで持ち上げている。首に鎧の重さと自分の体重がかかっているので、苦しいだろう。
「ぐぇ~」
「早くしないと死ぬぞ!いるのか?いないのか。答えろ!」
俺の手を掴んで離そうとしているが、当然だが外れない。徐々に静かになってきたので、手を離して下に下ろした。
「ひー、ひー、わかった。言うから待ってくれ!旦那様は、今商談に出ている。予定では、そろそろ戻ってくるはずだ。俺の立場もあるから、外で待っててもらえないか?お前を屋敷に入れたと知られたら、殺されてしまうからな。」
「ふ〜ん、まあ、いいだろう。近くで待たせてもらう事にするか。」
屋敷の外に出てから、スキル気配察知を使い、屋敷の人数を把握してから、シーナの町を散策した。防具屋の様子を確認しつつ、武器屋にも行き、海賊船で手に入れた武器を売ることにした。
「これは売れるか?」
「この辺のものじゃないな。2本で合わせて金貨50枚かな。どうする?」
「それでいい。」
武器屋で金をもらってから、再度ゲスネの屋敷に向かうと、人数が数人増えており、戻ってきているのかもしれない。さっさと片付けて帰ろう。
野球が楽しみだな。




