表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/112

時を刻む塔

星の海の第二の岸を出てから一週間。


地図の中央に向かって歩き続けると、周囲の風景は少しずつ変わった。砂浜は終わり、今は緑の丘が広がる。ところどころに古代の石畳の道。誰が作ったのか、どこへ続くのか。


「もうすぐだ」


林帆が杖を地面に突き、丘の頂上へ登る。視界が開けたとき、目の前に巨大な塔がそびえ立っていた。


石造りの、円筒形の塔。高さは数百メートル。周囲には何の建物もない。ただ塔だけが、時を刻むように静かに立っている。


「これが…時を刻む塔か」


近づくと、塔の表面には無数の数字と文字。時計のような模様。しかし針はなく、数字だけが刻まれている。


入口には大きな扉。鍵はかかっていない。林帆が押すと、重い音を立てて開いた。


中は広いホール。天井には巨大な振り子。ゆっくりと左右に揺れている。壁には無数の歯車。かちり、かちりと規則正しい音を立てている。


「まるで時計の中にいるみたい」


ヨルが驚いて見回す。


中央に、石の台座。その上に、一冊の書物と、一つの砂時計。


砂時計の中の砂は、黄金色に輝いている。上下に分かれ、少しずつ落ちている。


林帆が近づくと、砂時計が突然光り、声が聞こえた。


「よく来た。時を待つ者よ」


声は低く、重厚。


「私はこの塔の管理者、クロノス。お前が三つの力を統一した者か」


「はい」


「ならば、最後の試練を受けよ。この砂時計が全て落ちるまでに、塔の最上階へ辿り着け。時間切れになれば、永遠にこの塔に閉じ込められる」


林帆はヨルを見た。彼女はうなずく。


「行こう」


二人は螺旋階段を駆け上がった。一段、二段、三段。砂時計の砂は確実に落ちている。


二階。そこには鏡の迷路。無数の鏡が立ち並び、自分の姿が無限に映る。


「どっちが出口だ?」


林帆は右手の紋章をかざした。虹色の光が鏡に反射し、進むべき道を示す。


「こっち」


鏡をかわしながら進む。迷路は広いが、光のおかげで迷わない。


砂が半分を過ぎた頃、ようやく出口。


三階。そこは無数の歯車の部屋。回る歯車の間を縫って進まなければならない。


林帆は杖で歯車の動きを読み、ヨルの手を引いてタイミングよく飛び越える。


危ういところで服が挟まりかけたが、何とか突破。


四階。そこには何もない。ただ真っ白な空間。しかし、足を踏み入れると体が急に重くなる。


「重力の部屋か…」


林帆は三力循環を回し、体を軽くする。ヨルも自分のマナを使って何とか歩く。


五階。最後の階段。


砂時計の砂はあとわずか。


「走れ!」


二人は全力で階段を駆け上がる。


最上階に飛び込んだ瞬間、砂時計の最後の一粒が落ちた。


「間に合った…」


ゼェゼェと息を切らしながら、林帆は周囲を見渡す。最上階は円形の部屋。壁一面に星の絵。天井には巨大な天体図。


中央に、石の台座。その上に、一振りの剣。


柄には星の紋章、鍔には月の紋章、刃には太陽の紋章。


「これは…」


『三力を統一した者だけが、この剣を抜ける』


クロノスの声。


林帆は剣の柄を握り、ゆっくりと引き抜いた。刃は虹色に輝き、部屋中を照らす。


「これが…最後の力」


剣を手にした瞬間、彼の体内の全ての力が一つになった。星の力、マナ、根源の力、三力。すべてが調和し、新しい力が生まれる。


『これでお前は完全な継承者だ。この剣を使い、世界のバランスを守れ』


クロノスの声が消え、塔の外から光が差し込む。


林帆は剣を背負い、ヨルと共に塔を出た。


外はもう夕暮れ。空には二つの月と、無数の星。


「これで終わり?」


「いや。これからだ」


彼は剣の柄を握りしめ、新しい旅の始まりを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ