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星の海・第二の岸

町を出てから五日。


風景は再び変わった。荒野は終わり、今は白い砂浜が広がる。砂は細かく、まるで星の粉のように輝いている。波はない。静かな海。そして、空には無数の星。


「ここが…星の海の別の場所か」


前に渡った時は光の渦の中で意識を失ったが、ここは物理的な海岸として存在している。水面は鏡のように平らで、空の星を映し出している。


「まるで天と地が逆さまみたい」


ヨルが足元の砂をすくう。砂は温かく、手の中で光った。


地図には、この海岸のさらに奥に古代遺跡の印がある。林帆は杖を手に、海沿いを歩き始めた。


三十分ほど歩いたとき、岩場の陰に古びた石柱が見えた。一本だけ立っている。周囲には倒れた柱の残骸。


「ここか…」


近づくと、石柱には古代文字。星の文字とマナの文字、さらに根源の力の文字が混ざっている。


『ここは三力の交わる場所。真の力を求める者は、己の全てを捧げよ』


「全てを捧げる…」


林帆は少し考えた。そして、両手を柱にかざした。右手の紋章から虹色の光、左手からマナの光、体内から三力の光。三つの光が柱に吸収され、柱が震え始める。


地面が割れ、中から石の階段が現れた。下へ続いている。


「行くぞ」


階段を下りると、そこは広い地下神殿だった。天井は高く、壁には無数の星の絵。床には星座のモザイク。


中央に、石の祭壇。その上に、三つの宝玉。一つは青、一つは赤、一つは虹色。


「これが…」


近づこうとしたその時、祭壇の前に人影が現れた。それは老人だった。白いローブ、長い髭。目は深い知恵を宿している。


「よく来た。私はこの神殿の管理者、エルダン」


「あなたは…エルフではないですね」


「私はかつて、この世界の三つの力を統一しようとした者だ。しかし、失敗した」


エルダンは祭壇の宝玉を指さす。


「青は星の力、赤はマナ、虹色は根源の力。これらを一つにできれば、世界の真実に到達できる。しかし、私にはできなかった」


「なぜです?」


「バランスを取ることができなかったからだ。一つの力に偏り、他の二つを疎かにした」


林帆は自分の手を見た。右手の紋章には虹色の光。体内には三力。そしてマナも扱える。


「試してみます」


彼は祭壇に歩み寄り、両手で三つの宝玉を包み込んだ。三つの力を同時に注ぐ。


宝玉が輝き、浮かび上がる。三つがゆっくりと近づき、一つになろうとしている。


しかし、途中で止まった。


「どうした?」


「バランスが…」


林帆の額に汗が浮かぶ。三つの力が衝突し、収まりきらない。


その時、ヨルが後ろから彼の背中に手を当てた。


「わたしのマナも使って」


彼女の月の護符が輝き、温かい光が林帆に流れ込む。それはマナだが、純粋で優しい。


三つの力が突然調和し、宝玉が完全に一つになった。


新しい宝玉。虹色に輝き、内部で星がまたたいている。


「見事だ。あなたは成功した」


エルダンが微笑み、姿を消す。役目を終えたのだ。


林帆は新しい宝玉を手に取り、胸のポケットにしまった。


「ありがとう、ヨル。お前がいなければ、できなかった」


「二人でやったんだから」


彼女が微笑む。


地上に戻ると、空はもう明るくなっていた。星は消え、太陽が昇っている。


「これで次に進める」


林帆は杖を掲げ、宝玉の力を感じた。体中に新しい力が満ちている。


次の目的地は、地図の中央にある「時を刻む塔」。そこに行けば、この世界のさらなる秘密が分かるらしい。


二人は砂浜を歩き出した。


波のない海は、どこまでも静かで、彼らの未来を映し出しているようだった。

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